漫画家・赤星たみこの日記です。 

by akaboshi_tamiko

クリスティのハーリ・クイン

アガサ・クリスティ生誕120周年ということで、いろいろな企画が目白押し。クリスティファンとしては嬉しいことだ。
私は中学生の頃にはまり、10代で全作品を読んだ。

クリスティが生み出した探偵はたくさんいるが、有名どころではポアロ、ミス・マープル、トミーとタッペンス、そしてハーリ・クインがいる。

ハーリ・クイン物は12作品しかなく、すべて短編なので、知らない人もいるかもしれない。今も覚えているのは、ひし形の模様の服、ダンスが上手い、など。
私はクリスティの中で一番好きな探偵なのだが、映画やドラマになっているのかなぁ? マープル、ポアロ、トミーとタッペンスはよく見かけるのだけど。

さて、22~23歳のころの話だ。
友達数人と話しをしていて、私が「クリスティが好き」だと言ったとたん、そこにいるほぼ全員から「女の子ってみんなそうなんだよね」と言われたのだった。

その場にいたのは、ライターさんや小説家や編集者や、ほとんどがビブリオマニアというか活字中毒を自認するような人たちばかり。

そういう人たちの間では、その当時、「ミステリーが好き」と言うと、クリスティはあまりにも大衆的である、という認識だった、と思う。もっとレアな作家を好きだと言うほうがかっこいい、という風潮があった。

私が続けて「ハーリ・クインが好き」と言うと、その中の一人の男性から大きなため息が出た。

「俺、それってダメなんだよねー。どうしても読めない。女の子ってどうしてハーレクイン好きなんだろうね」

「あ、ハーレクインじゃなくて、ハーリ・クインです」
「ハーレクインだろ、恋愛小説の」
「いえ、ハーレ、じゃなくて、ハーリ、ハーリ・クイン。サタースウェイトという人が出てきて・・・」
「俺ダメなんだよね~」
「俺も、あれは気恥ずかしくて読めないなあ」

「それは、恋愛小説のハーレクインで、それじゃなくて、ハーリ・クインです。らりるれろの、『れ』じゃなくて、『り』です。ハーリ、クイン」

「だからハーレクインだろ」
「だから、『レ』じゃなくて、『リ』ですってばー。ハーリ、ハーリ・クインです。ひし形の模様の服の」
という押し問答がちょっと長く続き、周りの人もうんざりしたのだろう、間にいた別の人がとりなしてくれた。

「まあまあ、たみちゃんは宮崎出身だから、なまってるんだよね」




なんだとぉぉぉぉぉぉ~~~~!?

あ~、今思い出して急に腹が立ってきた!

活字にかかわる仕事している人たちがクリスティの「ハーリ・クイン」を知らないなんて! 
当時、恋愛小説のハーレクインが出始めて、ものすごく話題になっていた時期だったから、そっちに頭が行くのは当然だけど、その思い込みから逃れられない頑迷さに腹が立つ。 

もう、30年も前の話なのに、クリスティ生誕120周年でつい思い出してしまった。

当時の私は、ハーレクインとハーリ・クインを、私の言い間違いとか訛りのせいにされ、話す気力をなくして、黙ってしまったのだった。20代前半の小娘だったし。相手は30代、40代の、海千山千の編集者とかライターさんで、どう説明してもかなわん、と思って諦めたのだった…。

追記
今調べてみると、英語ではHarley Quinで、日本語読みは「ハーレー・クィン」「ハーレ・クイン」と書く場合もあるようだ。しかし、当時、ハーリ・クイン物は「ハーリ・クイン」としか表記されたものしか出版されていなかったと思う。
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by akaboshi_tamiko | 2010-09-17 10:44 | 読んだ観た聴いた | Trackback | Comments(4)
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Commented by よーぶー at 2010-09-17 14:00 x
すいません、笑ってしまいました。なまってないのに、なまりのせいにされるなんて。女性は多かれ少なかれ、似たような体験がありますね。私もデザインの仕事などしていますが、外見がおばちゃんなので、どうも掃除婦のように思われるらしく、社内をウロウロしている時にはあいさつもされず(こちらがしてもですよ)、後で打ち合わせて顔を合わせ、相手を動揺させるなんてしょっちゅうです。特にいなかのおやぢたちは多いですね。他人の意見をキチンと聞けて、外見で判断しない人が本当の人ですよね〜。
Commented by BIGMUM at 2010-09-17 17:45 x
ばんざ~い ハーリィ・クインを知っている人がいる。作家のアガサ・クリスティの一番好きな探偵(?)なんですよ。ちょっとミステリアスで私も大好きです。 こちらでは クリスティのテレビ番組がよくシリーズでありますが クインのは見たことありません。クリスティを馬鹿にしてはいけません。劇作家 探偵物作家 ロマンス作家ととっても才能のある英国には歴史的に重要な作家ですから。  せせら笑っている人こそ その偉大さの判らない無能者です!
Commented by akaboshi_tamiko at 2010-09-18 00:52
★よーぷーさん
女子だからロマンスモノが好きに違いない、という思い込みって、ヘンですよねー。
それにしても、よーぷーさん、外見で惑わせてあとで相手を動揺させるって、ミス・マープルのようですね!
Commented by akaboshi_tamiko at 2010-09-18 00:55
★BIGMUMさん
ハーリ・クイン好きがいた~~! 短編しかないので、知らない人も多いみたいです。
ちょっと調べてみたら、ハーリ・クインは1920年代に映画化されたみたいですが、DVDにもなってないし、テレビドラマ化は全然されてないようです。ドラマで見てみたいなあ。