漫画家・赤星たみこの日記です。 

by akaboshi_tamiko

乳がん

05/03/21/月曜
親しい友人が乳がんの告知を受けたので、いろいろなことを調べてみました。
私は「がんサポート」という雑誌に『がんの授業』というレポートを連載しています。これはがんの専門家に話を聞いて、がんのことをわかりやすく書く、というレポートです。これをもう1年半以上続けています。

なので、普通の素人よりは最新情報などをちょっとは知っているだろう、とちょっと自負しています。でも、素人は素人なので、満遍なく全部知っているわけではないから、知識に偏りがあったり、自分の知識が偏っているだろうと思いつつ、どっち方向へ偏っているかはわからないんです。知らないことも当然あるし、素人に毛が三本、いや、1~2本生えた程度、だと思っています。

さて、今日、友人が手術前の説明を受けるので、私にも一緒に行って聞いて欲しいと頼まれました。
それで行ってきたんですが、友人が、先生に私を紹介するとき、がんに対して詳しいので、と言ってしまったんです。
それで、先生、ちょっと、、、いや、かなり身構えてしまったみたい。

何か判らないことがあれば、どんどん聞いてください、ほら、聞いてください!! と、ちょっぴりけんか腰・・・。そ、そんな~~~。まずは先生の話を聞きながら質問があればしようと思っていたのに、最初からあれはどうだ、これはどうだ、という質問ができるほどプロじゃないですよ~~;;

とにかく、何か説明を受けるときって、「私は詳しいんです!」と言って受けるより、説明をしてもらいつつ、「はい、わかります」「はい、ここはわかります」「今のところはわからないので、もう一度説明してください」というような態度で接したほうが絶対いいです。

私は詳しいんです、という態度は絶対に見せないほうがいいです。
私は詳しいんです、と言ってるのに知らないことがあると、「こいつたいしたことないじゃん」と思われるし。
それより、「私は素人で、何もわかりませんから、説明お願いします、一生懸命聞きます」という態度で臨み、わかることがあれば「はいわかります」と言ったほうが、「お、この人はちゃんと理解しているじゃないか、偉い偉い」となるんですよね。

それから、もし、乳がん患者さんが先生と温存手術にするか全摘にするかの相談をするときは、ちょっと注意が必要だと思いました。

それは、「温存手術」を望む場合、こちらがどれだけ理解して温存を望んでいるかはあまりわかってもらえない、ということです。
まず温存手術を望む、と言った時点で、「ああこの人は雑誌なんかで温存がいいと聞いて、それで温存手術を望んでいるんだな、何でもかんでも温存がいい、というわけではないから、まずは気持ちをニュートラルにしてから説明しなければならない」と思うようなのです。

実際に今日の説明でそう言われました。

だから、ここはテクニックとして、ですね。
温存手術のことをちゃんと説明してもらいたい場合は、「何が何でも全摘出がいいと思っているんですが、一応、温存手術のことも聞いておきます」という風に言ってから説明を受けるといいのではないか、という気がしました。

だって、こちらは最初からニュートラルな立場で、温存と全摘出の話を聞きたいだけなんです。でも温存のほうが知らないことが多いからどうしても質問が多くなる、と。
そうすると医師は「あ、温存を望んでいるんだな、これはニュートラルにもどしてから話をしないと」と思うわけですから。

そうすると、勢い、全摘出のほうがいい、という説明をしてしまいがちになるようなんです。

前回の説明は、友人とそのだんなさんが聞きに行って、そのとき友人は温存と全摘出で予後に差がない、ということを私から聞いて知っていました。そして、放射線治療の成績がとてもよくなっていることも話しました。

全摘出のメリットとリスク、温存のリスクとメリットを秤にかけた上で、全摘出にしようと思っていたけど温存もいいかな、という態度で前回の話を聞きにいったのに、「温存もいいかな、と思っているんですが」と言った時点で、医師は「この患者さんは温存にこだわっているから、ニュートラルに戻さねば」と思って、全摘出よりの説明をしたそうです。

だから、友人はすっかり「そうか~・・・やっぱり全摘出じゃないとダメなんだ~~~・・・」と、前回の説明で思ったそうです。

今日の説明で、担当医は、「前回あまりにも全摘出よりの話をしてしまったなあと思ってます」とおっしゃっていました。それは、友人が温存にこだわっているな、と感じたからなんですね。

別にこだわっているわけではないんです、なんども言うけど。

乳がんの場合、温存と全摘出では、予後は変わりません。
予後が変わるのは、がんの種類によって、です。

詳しい説明は省きますが、A・性質いいタイプのがん(再発しにくい、広がりにくいタイプ)と、B・性質の悪いタイプのがん(再発しやすい、広がりやすいタイプ)があった場合、Aだから温存、Bだから全摘出、という風に単純に考えるわけでもありません。

性質のいいがんだとしても、発見が遅くてかなり広がってしまっている場合は全摘出になるし、性質が悪くても小さい場合は温存でもOKなんです。

手術の前に、タイプがわかればいいんだけど、判定が難しい場合もあるし、混合タイプもあるので、手術の前に「あなたは性質のいいがんだから温存で行きましょう」と言えない場合もあるわけです。

友人の場合は、性質がいいのか悪いのかが、画像診断では判定しにくく、6:4の確率で、たちが悪いほうではないか、と医師は考えているようです。
だったらすぐ全摘出だ! と単純に考えるのはまだ早い。

温存をやってみて、術後の病理検査で性質が悪いということがわかれば、その時点で再手術をします。
全摘をやってみて、術後の病理検査で性質がいいとわかった場合は、無駄撃ちだった、ということになります。
しかもがんがまだ小さくて、温存でも充分行ける、という小ささなんです。
しかも、温存手術をした場合は、必ず放射線治療を組み合わせます。放射線治療で、目に見えないがん細胞をたたくわけです。最近は放射線治療の精度がとても高くなって、予後がとてもよくなっています。だから、全摘出と温存の予後に差がないわけです。

だから迷うんですね。
たちが悪そうだから全摘出がいい、でも、いいかもしれない。
石橋をたたいて渡るなら全摘出だが、いいほうにかけてみて温存にチャレンジしてみても悪くはないレベルだ。しかもそのチャレンジはものすごく無謀なものではなく、やってみてもかまわないな、というレベルだそうです。性質は悪そうだけど、がんは小さい。これは、温存をやってみてもいい可能性がある、ということなんです。

悩むわ~~~、と友人も迷っていましたが、選ぶ余地がある、ということは、やっぱりまだ救いがあることだと思います。

病院に行ったら、即入院、即手術、しかも迷わず全摘出、というケースだってあるわけですから・・・。
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by akaboshi_tamiko | 2005-03-21 17:54 | 健康/美容 | Trackback | Comments(0)
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