漫画家・赤星たみこの日記です。 

by akaboshi_tamiko

宮沢賢治と交感神経

先週から体のあちこちが痛くて、先日、鍼へ行き、じっくり治療してもらった。
鍼の先生が、「交感神経(のツボ)が張ってましたね。興奮状態にあるので、そういうときは痛みを強く感じますよ」と言ってくださったのだが、、、

実は、、治療中うつぶせで寝ているときに、うっかり私は友達から聞いた、宮沢賢治の詩を思い出して、実は気持ちが高ぶっていたのだった。

宮沢賢治の妹が亡くなった日のことを書いた詩が、本当に涙を誘う。
「永訣の朝」

けふのうちに
とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ


友達が教えてくれたのは電車の中で、私は冒頭の一節を聞いた途端に、一昨年から去年にかけて次々に遠くへ行ってしまった3匹の猫たちを思い出して、ウッとこみ上げるものがあった。電車内で人の目もあったけれど、うっかり涙ぐんでしまった。

そのあとに続くこの言葉…

みぞれがふって おもては へんに あかるいのだ
(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)


妹は熱があってのどが渇いていたのだろう、みぞれを取ってきて、賢治にいちゃん、と頼むのだ。
賢治は妹のとし子にみぞれを取ってくる。

死ぬといふ いまごろになって
わたくしを いっしゃう あかるく するために
こんな さっぱりした 雪のひとわんを
おまへは わたくしに たのんだのだ


遠くへ行ってしまった私の猫たちは、死ぬ前の数か月は、下痢の後始末や投薬や食事の世話があって、健康な時より手間がかかった。猫たちは、私の一生を明るくするために、後悔させないために、いろんな世話をさせてくれたのかもしれない…。

さて、鍼治療を受けながら、私はこの詩をうっかり思い出してしまった。
うつぶせになってベッドに横たわっていたのだが、背中に鍼を打たれながら、胸の奥からワーッと込み合上げてくる思いと戦っていた。

コマちゃん…
とほくへいってしまった わたくしのコマちゃん…ムーちゃん…ヤクちゃん…

そんなこと鍼治療の最中に思い出すんじゃないよ、と思いつつ、あふれる涙をこらえていたのだった…。

・・・・そりゃー、興奮状態だ、とみられるよね。
誰がどう見ても、交感神経たかぶりまくり。

いや、もともと交感神経がたかぶっているから、こんなに感情の起伏が大きくなるのか。

それにしても、鍼治療を受けながら実は猫のことを考えて涙をこらえていたなんて、先生も想定外だろうと思う。

ああ、もうそろそろ落ち着きたいのだけど、宮沢賢治のこの詩、頭から離れない。時々フッと思い出してはうっかり涙ぐんでしまう。賢治、こんなに強烈だったとは!

これじゃあ交感神経はいつまでたっても落ち着かん。なにかいい方法はないモノでしょうか。
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by akaboshi_tamiko | 2014-10-20 01:20 | 健康/美容 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 羊の森 at 2014-10-20 16:25 x
はじめまして。
赤星さんの漫画はとても勉強になるので、いつも手もとにおいております(^-^)
宮沢賢治のこの詩、学生の頃にならったときはそれほどの感動がなかったのですが、それから10数年。福島県に移住することになり、そこで東北弁を聞くうちに、この詩の奥深さを知りました。
東北弁ってそれまではダサイ田舎臭い言葉と思ってたのが、これほどに心を打つ言葉とは思いませんでした。
東北弁はキレイな言葉なのです。
Commented by akaboshi_tamiko at 2014-10-20 18:18
★羊の森さん、初めまして!
本当に、東北の言葉は美しいですね!
方言はどの地方の言葉も味わい深いです。

私の故郷、宮崎の言葉も、子供のころはダサい言葉だと思っていましたが、大人になり、遠く離れてから聞くと、しみじみ懐かしい言葉です。

宮沢賢治のこの詩は、近しい人、愛する者を亡くした経験のある人なら、だれもが胸に迫るのでしょうね…。

福島で手紡ぎのお店をやってらっしゃるとのこと、手仕事のぬくもりは、方言のぬくもりにも似たものがあるなあ、なんて思っています。
最近、ちょっと更新が間遠になっているのですが、このブログにもちょくちょく遊びに来てください。よろしくお願いいたします。