漫画家・赤星たみこの日記です。 

by akaboshi_tamiko

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別れの日がまた来ました

この秋はいろいろな別れがあった。
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そら吉、おかあさん…

そして、新しい別れがあった。
姉が45年前に買ったオーブントースターとの別れだ。

姉は私より3歳年上で、18歳の時に日之影から東京に出てきたときに買ったそうだ。

私も18歳で東京に出てきて、姉と一緒に住み、そのオーブントースターをずっと使っていた。姉が田舎にUターンした後も、私はそれをもらい受け、使い続けた。

故障もせず、どこも悪くなっていないので、結婚してからも、千葉に家を建てて住み始めても使い続け、はっと気が付くともう何十年も経っていた。

特に不自由は感じていなかったし、見た目もそれほど汚れていなかった。中を石鹸やセスキで掃除していたのできれいに使っていたと思う。

しかし、トーストを焼くのに時間がかかるようになってきた。
さすがに45年も使っているのだ、少し危険なにおいもするような気がしてきたので、思い切って処分することにした。
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いざ捨てるとなると、そら吉やお母さんとの別れとはまた別の、感慨があった。

姉が買ったオーブントースターだし…。
4年前に亡くなった姉が買ったものだし…。

姉の思い出が消えていくような気がして、これはこれで胸が詰まった。

「モノ」だけど、その周りには思い出がまとわりついている。
このオーブントースター、私と40年以上も一緒にいたんだなあ…。

私が初めてパンプディングを焼いたのはこのオーブントースターだった。
初めてピザトーストを作ったのもこれでだったんだよ。
ありがとう、ねーちゃん。



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by akaboshi_tamiko | 2016-11-30 00:09 | つれづれ日記 | Trackback | Comments(0)

よだきい という言葉

宮崎の代表的な方言に「よだきい」という言葉がある。

疲れたときや面倒くさいときに「よだきい」と言う。
ただ単に「面倒くさい」イコール「よだきい」というわけでもない。
もっと複雑なニュアンスがある。

「よだきい」に限らず、あらゆる方言はほかのひとことでは言い表せない複雑で多様な意味が含まれているのだと思う。

今、疲れているわけではないし、めんどくさいわけでもないけれど、何かやる気が出ない、今の状態を、「そうだ! よだきいんだ、私!」と思い当たった。

義母が亡くなってから、何をするにもよだきい。
その前から、愛猫も亡くなっていたんだった…。

そら吉のことを忘れていたわけではない。大きな悲しみがあった。
でも、義母の看病や葬儀のことが大きすぎて、そら吉を失った悲しみが覆い隠されてしまった。

今、どちらの悲しみも表れてきていて、ダメージ大きいなあ…。

今月は病院の予約を間違えて次の日に行って、先生に怒られた。
昨日は大事な会議をすっかり失念していた。最後の最後に電話で参加させてもらったが、責任が果たせず、本当に申し訳ないことをしてしまった…。

ご迷惑をおかけした方々に、この場を借りてお詫び申し上げます。
本当に申し訳ありませんでした。

時間が解決する、とは思うけど、それを頼りにしているとどんどん無責任になって不義理をしてしまいそうなので、少しずつ気持ちを前向きにしていかねば・・・ と思ってますが、どうなることやら。

無理しないで、というコメントをいただきそうだけど、甘えてつけあがるので、少しは無理しないとね。

と、このブログを書きながら、ちょっと気持ちが変化してきた。
この状態が「よだきい」のだ、と気づいた、ということだったんだけど。

よだきいと気づく前は、どこか体悪いかな、と思ってたんだけど、そうじゃなくて、「ああ、私はいま、よだきいだけかー」と思ったら、少し前向きになれそうな気がしてきた。

よだきがる人のことを、よだきんぼ、ともいう。日之影では「ずうそご」とか「ずそご」と言ったなあ。最後の「ご」は「ずうそ子」ってことかな。

よく父に「ずうそごじゃなあ、たみ子は」と言われたのを思い出し、ちょっとほのぼのしてきた。しみじみ切ない感じじゃなくて、ほのぼの。
ほら、少し前向きな感じ。いいかもしれない。


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by akaboshi_tamiko | 2016-11-26 22:27 | 言葉 | Trackback | Comments(0)
義母が亡くなったあと、千葉では荼毘に付して簡単な葬儀を執り行い、本葬は旭川で上げることにしていた。

遺骨は陶器の壺に入れられ、その壺は白い箱に収めてある。ずっしりと重い白い箱を汚さないよう風呂敷に包み、さらに大きなバッグに入れて羽田空港へ向かった。

私と夫の飛行機の席は、急きょ取ったので離れている。重い箱なので夫が持ち、機内に持ち込むことにしたが、どこにどうやって置くかが問題だった。座席の下には入らない大きさだし、割れ物、壊れ物の部類なので頭上の荷物入れには入れにくい。夫は遺骨の入ったバッグをもってJALのカウンターへ相談に行った。

以下、夫が体験したJALの対応のすばらしさ。

夫がバッグを見せて、これを機内持ち込みにしたいのですがと頼むと、中身を聞かれた。
「母なんです」と答えると、カウンターの係りの人が頭を深々と下げたという。そして、夫の席の隣がたまたま空席で、最後までお客様がこなけれれば、そこを使ってください、離陸の時は足元に置いて、上空に行ったら隣の座席に置いて、シートベルトをかけてください、と言ってもらえたとのこと。

夫が自分の席に行き、言われた通り離陸の時は遺骨の入ったバッグを足元に置いた。上空では隣の席に移しシートベルトで固定していると、飲み物のサービスが始まった。

CAの方が夫に「お飲み物は何にいたしますか?」と声をかけたあと、隣の席の母(の遺骨)を向いて、「お連れ様の分はいかがいたしますか?」と聞いてくれたのだそうだ。

遺骨は私たち家族にとっては「肉親」そのものだけど、赤の他人にとってはどうなんだろう。単なる物質、だと思うだけならまだしも、縁起が悪いと言って嫌う人もいるかもしれない。それを、最初からずっと「人」のように対応してくれたと、夫は涙ぐみながらこのことを話してくれた。

本当は、義母は飛行機に乗るといつもコーヒーを頼んでいたので、コーヒーをもらえばよかったとあとで言っていたが、夫は心遣いに感動して、「けっこうです…」としか言えなかったらしい。

その場にいない人や亡くなった人の席に飲み物や食べ物を置く「陰膳」という風習がある。宗教的な意味合いはないらしいけれど、いない人、亡くなった人を偲んで同じ食べ物を置くのは、私の世代だとなんとなくなじみのある行為だ。供えた食べ物は周りの人があとでありがたくいただくのがルール。

私の席が隣だったら、義母が好きだったコーヒーを頼み、そのあと私が飲んだのになあ…。(夫はコーヒーを飲まないので)

飛行機が旭川空港へ到着したとき、私は先に飛行機を降りた。ちょっと待っていると夫が目を潤ませて出てきた。
降りるときも、乗務員一同がみんな深々とお辞儀をして見送りをしてくれたのだそうだ。

生きているお客様を大切にするのはもちろんのこと、亡くなった方への敬意をこんなにもしっかりと表してくれることに、夫も私も感動した。

遺骨に飲み物なんて、やりすぎ、という人もいるかもしれない。でも、やっぱりそういうことをやっていただくと、遺族はとても嬉しい。「人」と同じように対応してもらえて、本当にありがたかった。

JAL、まさに日本流のおもてなしだったと思う。
2016年11月17日、JAL羽田→旭川便の地上スタッフの皆さま、客室乗務員の皆さま本当にありがとうございました。


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by akaboshi_tamiko | 2016-11-23 17:54 | Trackback | Comments(2)

帯の長さ、帯締めの長さ

私が夫と結婚してすぐ、着物好きの義母は私に浴衣や着物を誂えてくれた。

私だけでなく、義弟のお嫁さんにも、茶色と金色の美しい模様が散らしてある訪問着をおそろいで誂えてくれた。
おそろいと言っても、ちょっと柄を変えてあって、印象の違うものになっていた。帯や帯揚げもちょっとずつ変えてあって、二人に合うよう、義母が心を込めてくれたのだろうな、、、と思うような着物だった。

残念なことに、作ってもらった当時は私もそんなに着物に興味がなく、年に一回着るか着ないか、くらいの頻度で、もちろん、自分では着れないし、着物のたたみ方も知らないというお粗末な嫁だったし、義母はちょっとがっかりしていたかもしれない。

でも、それから20年近く経って、ようやく私にも着物に対する興味がわき、自力で着付けもできるようになった。それを一番喜んでくれたのが義母で、「あんたが着物を着るようになってこんなにうれしいことはないよ」とよく言ってくれた。

さて、義母は私に喪服も誂えてくれていたのだが、これが結婚直後だったのである。

そのころ、私はやせていた。・・・今より、10キロ以上やせていた…

着物のいいところは、多少太ったりやせたりしても身頃の重なりを深くしたり浅くしたりで調節が利くというところだ。多少デブってもOK。
確かに、10キロ増えても着物は何とかなった。

しかし、、、、

帯のサイズ、私が一番やせているときのサイズで誂えたのである。み、短い・・・・・ちょっとだけ、なんだけど、短い・・・
帯締めも、、、、み、短い、、、、、

葬儀の時、喪服を着たのはいいけれど、帯の「テ」が1センチくらい出すところ、全然でなくて、何度も締めなおした。なんとかテが出るようぎゅうぎゅう引っ張って、ようやく左右1センチ弱くらい出るようになって、、、、

帯締めも左右の房を下に向けるように挟み込むとき、かっこよくなってくれず、かなり苦労した。

お義母さん、、、、、
見てて、私もう少し、やせるわ。そうしないと、おかあさんからもらったほかの着物(義母サイズ)のものがほんとに入らなくなるし。


義母の遺影に向かって手を合わせながら、私は固く決心したのであった。
やせるわ・・・


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by akaboshi_tamiko | 2016-11-15 01:36 | キモノ | Trackback | Comments(0)

喪服を洗う

今年の夏は異常な湿気で、家じゅうがべたべたしていた。
革靴がカビだらけで10足以上廃棄処分にしたり、革ジャンやバッグにもカビが出ていた。

それくらいカビがひどい夏だったので、11月5日、明日、斎場に行く、という日になって夫が自分の喪服を出してみたら、なんとカビが生えていた!! 黒地に白いカビはすごく目立つ。

実は、義母の入院中、私も夫も、喪服のことが頭をよぎったのだが、それは二人とも口には出せなかった。最後の最後まで、私は葬儀が来ることなど考えたくなかったし、夫に「喪服の準備を…」と言うのは酷すぎて、言えないでいたのだ。

しかし、明日は斎場へ行って、葬儀をしなければならない。紺のスーツを着る、と言うのだが、弔事に紺のスーツは意外に目立つ。仮にも夫は喪主なのだから、黒い喪服のほうが絶対いい。

というわけで、私は夫の黒いダブルのスーツを洗うことにした。(クリーニングは絶対間に合わないので)

夫の喪服、素材はウール。ああ……ポリエステルなら簡単なのに、、、、ウールは固くなったり縮んだりするのでちょっとやっかい。でも、やらないと明日着ていけない。やるしかない!! まあ、洗うのは何とかなるだろう。でも、、、実は、洗うより難しいのはアイロンがけのほうなんだけどね…。

とにかく、まずはカビの生えたスーツをお風呂場にかけて、シャワーで全体のカビを洗い流す。
いきなり石鹸液につけても、カビそのものがたくさんついていると、石鹸液がすぐ汚れてしまうので。ザーザー勢いよくシャワーをかけてカビ汚れをある程度洗い流してから石けん液で洗う。

洗濯機にぬるま湯を入れ、液体石けんとセスキを入れてよくかき混ぜる。※1セスキ炭酸ソーダを入れるのは、助剤の代わり。

洗濯槽の石けん+セスキ液にスーツを沈め、ゆっくりと手で押し洗いする。もみ洗いやこすり洗いはしないで、洗濯液の中で布地を泳がせるように揺らしたり、軽く押したりしながら、洗濯液の汚れ具合を見ながら洗う。上着とズボン両方入れて2~3分というところかな。

うちの洗濯機は二槽式なので、スーツを脱水するのも簡単。洗濯液を排水しながらスーツの脱水は3分ほど。
※2洗濯槽にきれいなお湯をためて、スーツを水没させ、また揺らしたり押したりしながらやさしくすすぐ。すすぎは1~2分くらい。石鹸は泡切れが早いので、意外にすすぎ時間は短くても大丈夫。

脱水は2~3分くらい。しっかり脱水するとしわが取れなくなるので軽めに。

脱水槽から出したスーツは、カビのにおいもなく、きれいな黒になっていた。

これを当て布をしながらアイロンがけをする。ある程度乾いてからでもいいけれど、明日着るので、まだ乾いていないうちにアイロンをかけて少しでも早く乾かしたかったのだ。

ズボンの折線がきれいに出ていないと意味がないので、そこは※3当て布を薄いものにして、しっかりかけた。

上着で難しいのは袖山。袖の中にバスタオルを丸めて入れて、布を軽く引っ張って形を整えながらアイロンをかける。もちろん当て布をして。

このアイロンがけだけで2時間ちかくかかった。
しわが伸びて、パリッとしたけれど、まだ湿っているので、ハンガーにかけて下から除湿器を当てて一晩おいたら、、、

よかった!葬儀当日はきれいにしわも伸びていたし、ウールが縮むこともなく、すっきり仕上がった!!
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あのカビが落ちるとは思ってなかった、、、とは夫の弁。
黒カビは落ちにくいけど、白いカビならすぐ落ちる。本当に大変なのは、アイロンかけ。皆さま、あまりやらないほうがいいと思います。
カビが生えないよう、虫干しはこまめに。そっちのほうが楽ちんです…。



補足説明
※1
液体石けんは助剤が入っていないので(入っていても2~3%と、極端に少ない)、大物を洗う時は助剤があるほうが洗浄力が長持ちする。

助剤とは、石けんの洗浄力を長持ちさせるためのもの。ふつうの洗濯石けんだと、助剤は炭酸ソーダ(pH11.3)を使う。
しかし、炭酸ソーダだと全体のpH がやや高くなるので、ウールが固く洗いあがる。

セスキ炭酸ソーダはpH9.8。石けんのpHは10くらいなので、それよりpHが低めのセスキ炭酸ソーダだと、ウールにも安心。

※2
ウールやシルクなどを洗う時はぬるま湯が基本。洗う時とすすぐ時まで同じ温度がおすすめ。

※3
ほかの部分は厚手のタオルを当て布にした。ウールの繊維は熱や圧力でペタンとなってテカテカすることがあるので、優しく、中温でアイロンがけが基本。でもズボンの折り目だけはきっちりさせたいので、ここだけは当て布を薄手のもの(手ぬぐい)にしてやや高温でアイロンをかけた。




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by akaboshi_tamiko | 2016-11-14 01:24 | 石けん/洗濯 | Trackback | Comments(0)

お花がいっぱいの・・・

11月4日に義母が永眠いたしました。
いろいろとお悔やみや励ましの言葉をいただき、ありがとうございました。

4日の夕方に病院から帰ってきたとき、むかいの石田さんが自分で育てている大輪の菊を持ってきてくれました。
石田さんは菊づくりの名人で、市や県のコンテストで何度も賞を取っているのです。
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6日の納棺のとき、お棺に入れる花が寂しくないようにと、姉と姪たちからも花が届き、葬儀社に手配してもらったお花も届きました。
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石田さんからもお棺に入れるようにと、また見事な菊が届き、感激。
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顔の周りには義母の好きだったバラや小ぶりの花を置き、体の上には大輪の菊を置くと、まるで夜空に大きく開いた花火のようで…。
それはそれは見事な、今まで見たことがないくらい華やかな送りの花になりました。
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「こんなに立派なお花を入れたお棺は、見たことがないよ、この近辺で一番立派なお花だよ」と私が義母に話しかけていたら、葬儀社の方も、「こんなに見事な花を、自分で作った花を入れたのは、私も初めてですね」とおっしゃるくらいでした。

結婚してすぐ、義母が私のためにあつらえてくれた喪服がありました。今回、それに初めて袖を通しました。

葬儀の前の日に、小物はどうしよう、間に合わなかったら近所の着物量販店で買うしかないかも、と思って、畳紙を開いたら、五つ紋の喪服、帯、帯揚げ、帯締めまで全部そろっていました。義母の気持ちがありがたくて、涙がこぼれました。
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着付けは下手だけど、自分で着たからね。ありがとう、おかあさん。


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by akaboshi_tamiko | 2016-11-13 05:22 | Trackback | Comments(0)