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赤星たみこの戯言・放言・虚言日記♪ akaboshi.exblog.jp

漫画家・赤星たみこの日記です。 


by akaboshi_tamiko

RGBとCMYK

RGBは、Red(赤)Green(緑)Blue(青)の頭文字で、光の三原色です。

CMYKは、Cyan(シアン)=青   Magenta(マゼンタ)=赤(本当は濃いピンクというか、紫がかった赤。いわゆるリンゴみたいな真っ赤ではない)   Yellow(イエロー)=黄    K=黒

黒だけなぜブラックを使わないのかというと、ブルーと間違えられないように、という配慮だそうです。もちろん日本だけの習慣でしょう。

私は印刷媒体で仕事をして30年ですから、自分の描いた絵が印刷されるとどう変わるか、発色がどうなるか、ということを、印刷所の大きな機械を通して知っています。印刷所は必ずCMYKという4色のインクで印刷します。

RGBというインクはなく(いや、赤、緑、青、という特色のインクはありますが、それは「インク」であって、光ではない)、印刷では必ず「インク」という物質を使います。

インクは、光とは違うので、多くの色を混ぜれば混ぜるほど濁ります。(これを減算混合と言う)
(このあたりは中学の美術の授業で習ったことを思い出して書いているだけなのでうろ覚えです。間違いがあったらご指摘ください(-人-))

光は混ぜれば混ぜるほど明るさを増します。(これを加算混合という)

以前、編集者や印刷所の人がこんなことを言って怒っていました。
「パソコンで作画して、RGBのまま入稿する人がいるが、ものすごく大変だ!」と。

RGBは光の三原色だから、例えば舞台でダンサーに光を当てた時、赤い光と緑色の光を当てたら黄色になったとします。これはライトが二つ当たっているわけだから、黄色いフィルターをつけて黄色くしたライトの光を一つ当てたときよりも明るくなっているわけです。(この説明でわかるかな…これが「加算混合」なんです。明るさが加算されていく、というわけ。)

そういう、色(いや、光ですが)を混ぜれば混ぜるほどどんどん明るくなる方式で描いたイラストを、インクを混ぜて色を作る方式で紙に印刷したら、そりゃー、色が沈むんですわ。

実物のインクや絵の具を混ぜて色を作るのが「減算混合」と言うのは、明るさが減算されていくからですね。

今は、パソコンのプリンターを通して「PCで描いたものを印刷すると色が暗いほうへ変わる」ということを知っている人が多いでしょう。

プリンターによっては特色(蛍光色)を使うものもあるし、印刷する紙を艶のあるものにするとかで、モニターで見えている色に近づける工夫をする場合もあるけれど、基本的に「印刷」は加算混合ではないので、どれだけ蛍光色を使っても、モニターと同じになるのはありえません。

イヤ、ほとんど同じに再現できています、という場合もあるだろうけれど、それはコストパフォーマンスという側面から見ると、どうなんだろう? 一枚のイラストとしてプリントアウトする分にはいいけれど、印刷物として多くの人に見てもらいたい場合(数千~数万部単位での話し)は、お金かかりすぎると思う。パソコンのプリンターや特色でどうこうしようにも、追いつかないし。

と、最近、印刷物と原画の色が違うと印刷所に怒鳴り込む人が増えた、と言う話しを聞いて、それは印刷所の方がかわいそうだなあと思い、こういう日記を書いたわけです。

私もCMYKで色を塗っているけれど、それでもモニターで見る色は光だから、印刷物では沈むということを知っています。だから印刷時に出したい色は、モニターで見る色の2~3割は薄く指定します。

たとえば、茶色は
RGBとCMYK_b0019674_121779.jpg


左の茶色が欲しいけれど、CMYK全部使った色だと、印刷時に濁るので、できるだけ3色で表現したい。というわけで、右の色のようにCをゼロにして、MYKだけの混色にする、という具合。

緑の場合は
RGBとCMYK_b0019674_123121.jpg

好みにもよるけれど、4つあるうちの左上の色が欲しい場合、印刷時にくすむことを考えて、右下の色のようにKをゼロにしてCMYだけで混色する。

てな具合。

茶色も緑も、欲しい色より、少し薄めにしてあるのがコツといえばコツかな。
まあ、これも好みですが…。
Commented by 黒豆 at 2009-12-06 18:09 x
わたしも、印刷関係のデザインを生業としていて(しかも、まったくパソコンによるデザインなどというものがこの世に存在しなかった頃から仕事をしているので…赤星さんも同じかと思いますが(^^))、こういった全くの基礎的な問題にはしばしばぶつかります。
ことに、印刷とはどういうことかということを全く知らないアマチュアでも、形だけはパソコンでデザインらしきものが出来てしまうという時代になって、この問題は印刷関係者を悩ませています(そういうひとたちの作ったデータが、YMCKに変換されていることはまずありません(^^;)。
パソコンのモニタ上でさえ、RGBとYMCKでは、かなり色味が違ってしまうことがあります(明るい鮮やかなグリーンやコバルト系統の色などが顕著ですが)。
ましてや、それを光からインクという物質に置き換えるわけですから、その違いはますます歴然としてしまいます。
自分の作ったデザインを印刷したいという方、まずは、その基本的なところをどうぞ勉強してください、と、切に願う今日この頃です。
パソコンがあれば、今日からあなたもデザイナーだ、というのは、メーカーの宣伝文句だけですから…。
Commented by akaboshi_tamiko at 2009-12-06 20:07
★黒豆さん
本当に、CMYKを理解しないで印刷に出すことの危険さを、アマチュアの方は理解していないようです。
印刷所の人も大変ですよね。RGBで作ったイラストを印刷して、色が違う!と怒る人に対して、説明するのも大変だし。

知り合いの編集者が、新人漫画家がRGBで入稿してきたものを、わざわざCNYKに変換して入稿する手間を嘆いていました。

それがフォトショップならまだしも、編集部に無いソフトで入稿されると、もうものすごい手間。いちいちそのソフトを持っている人の所にデータを送り、そのソフトから互換性のある別ソフトに移し、それをフォトショップに移行する、という手間をかけることもあるとか。

RGBしか付いていないソフトもあるんだそうです。CMYKモードの無いソフトを使ったことが無いので、よくわかりませんが。そしてRGBからCMYKに移した段階で色が変わるし。

は~、どうして印刷しようとする人がCMYKを覚えないのでしょうね。
自分の描いたものを、一人で楽しむだけならいいけれど、大勢に見てもらいたいのであればCMYKを勉強してもらいたいですね。
Commented by 黒豆 at 2009-12-07 11:59 x
わたしのブログに、関連記事をアップしましたので、興味のある方はどうぞ(^^)。
Commented by よーぶー at 2009-12-07 12:11 x
印刷屋でデザインとCTPの仕事してます。本当に大変です(苦笑)。
ウインドウズのデータとか、壊れかけてるようなものまで、印刷してます(大笑い)。ボランティアじゃないんですけど・・・。
さすがに怒鳴り込まれないように、事前には説明しますが、本当に困るのは、説明しても理解しようとしない上に、女である私に説明されることを不快に思う人達(特にオジサン)です。なんというか、人間性の問題というか、根強い男尊女卑を感じます。あんまり頭にくる時は、理詰めで追いつめて、激怒させて、二度と仕事を出させないようにしたりもします(にこっ)。
赤星さんのデータなら喜んで受けますよ!!!
Commented by akaboshi_tamiko at 2009-12-08 00:12
★よーぶーさん
RGBでしかイラストを作ったことのない人が、「いまどきCMYK使う人がいるって信じられない」と言っているのを見たことがあります。
いまどきCMYKって…。モニター上でしか自分のイラストを見たことがない、ウェブ上でしか公開したことのない人の言葉でしょうね。印刷所は必ずCMYKですから。
でも、そういう基礎を知らない人が増えたのですから、印刷所の方は苦労しますね…。お疲れ様です。

私のデータ、ぜひいつかお願いします!(*^_^*)

★黒豆さん
見ました! そうそう、以前は私もYMCKって言ってましたわ。フォトショップ使うようになってからCMYKって言うようになったんですね。習慣って、気づかないうちにつくものなんですねえ
(*^_^*)
by akaboshi_tamiko | 2009-12-05 01:02 | 仕事 | Trackback | Comments(5)