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梅原龍三郎はナルシストか?

先日の近代美術館での所蔵品ガイドツアーの続き。

まず、「こだわり」というテーマで3つの作品を解説していただいた。尾竹竹坡の「おとづれ」、梅原龍三郎の「ナルシス」、安井曽太郎の「安倍能成像」だが、尾竹竹坡については先に書いた。
http://akaboshi.exblog.jp/14430910/

今日は梅原龍三郎の「ナルシス」について解説していただいたことを思い出して書こうと思う。

さて、これが梅原龍三郎の「ナルシス」である。
ガイドさんの質問
「この絵の男性は何歳くらいに見えますか?」
私は10代後半から20代半ばくらいかな、と思った。柔道とかやってるのかな、筋肉隆々だなあ、と。
梅原龍三郎はナルシストか?_b0019674_1121015.jpg

「この絵は梅原隆三郎が25歳のときに描いた自画像です」
とガイドさん。

えっ、自画像!?
自画像なら、普通は鏡を見て描くから、絵の中の人物はたいていこちらをじっと見つめている絵になる。
こんな感じの、ね。
梅原龍三郎はナルシストか?_b0019674_1124979.jpg

これは藤田嗣治の自画像だ。同じ近代美術館の収蔵品で、ここは写真撮影可なので撮っておいた。自画像、というとこんな風に鏡を見て描くのが普通。

なのに梅原龍三郎の「ナルシス」は男が椅子に座って床の水鏡を見ている。鏡を見ている、という意味では同じだけど、それを描くとなると、一旦写真に撮ったのか・・・?
それとも体は別の人をモデルとして座らせて描き、顔だけ自分の顔写真を見て描いたのか?

その場合、自分の体と同じようなモデルを選んだのか? それとも筋肉隆々のモデルを選んだのか?
などと、疑問がわいたのだが、黙っていた。

さて、もう一度この絵を見ていただこう。

えーと、ここから先は下品な話なので、嫌いな方は読まないでください。よろしくお願いいたします(-人-)

梅原龍三郎はナルシストか?_b0019674_1133991.jpg

「床の上にあるのは水の入った洗面器で、男性の顔がうっすら映っていますね? 泉に映った自分の顔に見とれて死んでしまったナルシスのように、自分をナルシスのように描いているんです。自分をナルシスのように描く人って、どうですか?」

ガイドさんに声をかけられた20代くらいの男性が「いや~、、僕はそれほど自分に自信ないです」と答えた。

周りの人たちの反応は、おおむね同じで、梅原龍三郎はナルシストだ、というような反応だった。

いやいや、私はそれにはすごく異論がある。

私は、まずこの絵を見たとき、股間に目が行った。「こ、これは…、小さめかも?」と思ったのだった。

ナルシストなら、大きく描くのではないか?!

でも、そんなこと、美術館の静謐な雰囲気の中では言えなかったです・・・。 みなさん、そんなこと微塵も思ってなさそうでした。私だけですか、こんな下世話なこと思ったのは?私だけですか、この絵を見てまず股間に目が行ったのは?

……。
家に帰ってきてから、さっそく夫にこの話をした。
夫いわく、
「ちんちんで自信を表すタイプと、筋肉であらわすタイプがいるからな。わざと小さく描いて、筋肉を強調する、という手もあるぞ」
(う~ん、伏字にしたらかえってヤラシクなったので、ここはあえて全部書いてしまいます。下品ですみません・・・)

しかし、わざと小さく描いて筋肉のほうを見せたがるとは!!
(いや、ホントにそうかどうかはわからないけど)

筋肉をモリモリにするボディビルダーは、股間にコンプレックスがある人が多く、それを筋肉を鍛えることで解消しようとしている、という説がある。この説、まことしやかに言われているが、実は全部が全部そういう人ばかりとは限らない。

筋肉を鍛えるということは、血液がどんどん筋肉に行ってしまうので、股間に集まらなくなる(足りなくなる)、だから小さくなってしまう(または小さく見える)らしい。

この絵の筋肉の描きかたは、絵の具を何色か、キャンバスの上で混ぜて色を作るという描きかたで、ちょっと離れて見るほうが筋肉の盛り上がり方がよくわかる。

その筋肉への思い入れは、確かに「フェチ」なのかもしれない。
そうか、股間自慢ではなく、筋肉自慢だったのか。
なんてね、これ、私の独断ですから。本気にしないように。

追記
ミクシーのほうで、先にこの日記をアップしたのだが、それには「寒かったんだと思います」というコメントがついた。
そうか、寒かったのか!
Commented by kuunuu at 2010-12-02 00:41 x
血が必要な時は限られているとも思うが……。
私が疑問に思ったのは、「なぜ、このポーズ?」ということ。なんで足を広げているか不明。これだけ足を広げるのなら、もっとちゃんと描け、と思った。ぼやぼやですよね。公序良俗に反すると思うなら、こんな無理な姿勢にしなくてもいいように思うんだけどな。
Commented by akaboshi_tamiko at 2010-12-05 12:07
★kuunuuさん
筋肉は鍛えれば鍛えるほど、常に血液を必要とするから。血液が必要な「時」があるのは海綿体。
脚を広げたポーズは、脚を立体的に見せるためのポーズだと思う。写真のモデルも、洋服をきれいに見せるために、実際にはそうは立たん、という姿勢でポーズをとるけど、そういうものじゃないかな。

でも、こんだけ股を開いているのに、これはやっぱりちょっと小さめだなあ。と、やっぱりそこに目が行くわたくし。おほほほほ。太ももの筋肉を描きたかったんだと思う。

ガイドさんが、「この絵が神話に見えないのはどうしてだとおもいますが?」という質問もしたんだけど、私は充分神話に見えるけどなあ。というか、神話から題材をとった絵、に見える。美しい森の中⇒室内 美しい泉⇒洗面器 神話風の衣装⇒筋肉 という風に、神話的な美しいものを世俗的なものに置き換えてみました、という絵。それでこんなに股間のことを言われるとは、想定外だっただろうなあ。
Commented by kuunuu at 2010-12-05 21:43
神話にみえるかどうかってことと、タイトルは関係ないと思うけど。自分はナルシシズムをどう考えるかということでしょう、と思います。ナルシシズムが顔の美醜だけにあるわけじゃないし。ガイドさんはちょっとナルキッソズにこだわり過ぎなんじゃないかな。股間も関係ありますし、筋肉も、生き方にもあるぞー。
by akaboshi_tamiko | 2010-12-01 01:14 | アート系 | Trackback | Comments(3)