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赤星たみこの戯言・放言・虚言日記♪ akaboshi.exblog.jp

漫画家・赤星たみこの日記です。 


by akaboshi_tamiko

空想建築は面白い!

昨日は町田市立国際版画美術館へ行って来た。
空想建築は面白い!_b0019674_2275931.jpg

銀色の球体は井上武吉作"my sky hole 88-4"という作品。
これに映っている4人と、そばに立っている一人が今回のメンバー。mixiの美術好きコミュ出知り合った友達だ。

今回の展覧会は「空想の建築―ピラネージから野又穫へ―」というもの。
http://hanga-museum.jp/exhibition/index/2013-181
ピラネージは18世紀のイタリアの画家、建築家。ローマの景観を描いた版画でも知られる(wikiediaより)。
野又穫は1955年生まれ、空想の建造物をリアルに描く画家。徹底的に人物が出てこない。

どちらも建造物をリアルに描くのだが、ピラネージはエッチングなので、ホントにほんとに細い細い線で岩やレンガや道路の敷石や植物や空を表現する。線の重なりだけで深みを出す。
(エッチングだけでなく他の技法も組み合わせているのだけど)

野又穣はキャンバスにアクリル。100号以上もあるような大きな画面に、精密な建物が色鮮やかに描かれている。

と書くとなんだ小難しいような感じがするかもしれない。
でも、すごく面白かった!見るだけで「ほ~~~~ッ!」と思うような絵ばかりだった。
なので皆さんにおススメしたいところだが、残念なことに16日が最終日だったのだ。ホント、残念!

美術展に行くと、帰ってきてからいつも「ああいう絵を描いてみたいなあ」と思う。でもいつもは面倒でやんないのだが、今回はなぜか興が乗って描いてみた。
空想建築は面白い!_b0019674_2495322.jpg

いつもなら絵の具出さなきゃなー、とか考えるところを、今回は鉛筆だけでいいじゃん、と思ったのでコピー用紙の裏にチャチャッと描いてみた。
うーむ、高校時代を思い出す!
空想建築は面白い!_b0019674_2502327.jpg

右の絵のほうは、野又穫風「空想の建築」。実際には無い建物で、パースの甘さを緩和しようと、ちょっと廃墟っぽくしてみた。

でも、本当はピラネージのエッチングみたいに細かく描きたかったのだ・・・。無理だけど・・・
ピラネージのエッチングは、遺跡をじっくり観察して描いてある。
エッチング線は本当に細くてきれいだけど、ピラネージの線は細く丸く、固く、強弱があり、本当にバリエーションが豊富な線だった。あんなに自由に線が彫れるなんて、、、しかも、絵が大きいのだ!エッチングであんなに大きな絵にするなんて!びっくり!!

と、感動しつつ、今度は乃木坂のサントリー美術館へ移動。
「もののあはれ」と日本の美
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_2/?fromid=topmv
を見てきました。

こちらは、花鳥風月を愛でる日本の美意識、「もののあはれ」を大切にする日本文化を紹介する展覧会。特に、「もののあはれ」を表現している「源氏物語」の絵草子や巻物、屏風絵などの展示が素晴らしかった。

しかし、町田では、透視図法が定着しているヨーロッパのエッチングと現代の理論的な透視図法を駆使した野又穣を見てきて、透視図法が定着していない日本の江戸絵画を同じ日に見ると、けっこう新たな感動があった。

例えば、屏風に描かれたある建物と人物。
昔の絵は透視図法が確立していないので、パース的におかしな絵がたくさんある。
でも、家の中の出来事を描くのに、精密な透視図法を使わなくてもいいし、絵の中に誰がどこにいるか、誰が誰を見ているかがよくわかる絵のほうが、見る人に親切だ。
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上の絵は、一点透視図法に則って廊下をきちんとつなげて描くと、絵の中の男性が後ろ向きになってしまう!! そんなことより、顔を見せたり、人間の位置関係がパッと見てわかるほうが大事かも。

な~んてことを思いつつ、帰ってきてあれこれ絵を描いた。やっぱり絵を描くのは楽しいね。
美術展を見ると、やっぱりいろいろ描きたくなるんだなー。絵の具出さずとも、鉛筆でいいからこれからも描こう!と思った夜でした。
by akaboshi_tamiko | 2013-06-17 04:05 | アート系 | Trackback | Comments(0)