ショッピングは最高のリハビリ
日之影から千葉の私の家についたときは杖をついて歩いていたのだが、その日は疲れたのかほとんど寝ていた。14日も家の中しか歩いていないので、足腰が急激に弱ったようだった。歩くときふらつく、と言っていた。
日之影から送った荷物が手違いで届かず、15日の夕方、着替えを買いにシマムラへ連れて行くことにした。
シマムラに行ったときは、杖をつきながらゆっくり歩き、肌着などをあれこれ選ぶ母。
「ついでにブラウスとか、上に着るものを、どしこでん(どれだけでも)買うてやるから! どれでん好きなもんを選びね」と言って、肌着コーナーから普通の服のコーナーへ連れて行った。(シマムラ、980円でいいモノがたくさんあるのだ)
ブラウスとかカットソーとかあれこれ物色していたのだが、ふと気づくと母は杖を持っていない。
「お母さん、杖は?」と聞くと、ハッとして、「あら、どこじゃったどかい? どっかに置き忘れたわ」と言うではないか。
なんと、母は洋服を選びながら杖をつかずに歩いていたのだ。それもスタスタと!
あんなに弱弱しく歩いていたのに、ねえ。
肌着を選ぶときは杖をしっかり持っていたのに、ちょっとしたスーツとかコートを見て、羽織ったりして、杖をちょっとどこかに立てかけて忘れたのだろうが、そのあと杖なしでスタスタ歩いて別の洋服を見にいけるとは!
杖はすぐ見つかり、その後も杖をついて歩いたけれど、店に来たときより元気な歩き方になっている。
やっぱり、「健康のためにウォーキングしよう」とか「足腰を鍛えるために歩かなくちゃ」というような動機より、「好きな洋服を選ぶために歩く」という動機のほうが、気力の出方が違うのだと思う。
いくつになっても女は着るものを選ぶときは活き活きするんだなぁ。