2015年 04月 19日
和式使えないんでー
羽田空港のトイレで並んでいると、小学生の高学年くらいの女の子が、自分の順番になったとき、ちょっと困ったな、というような顔をして、後ろを振り向き、私に「これ、使えないんでー」と言って、並んでいる列からちょっと外れました。
しゃがんで用を足すことができない子供が増えている、というニュースを読んだのもその頃だったので、ホントにいるんだー、と思ったのを覚えています。
そして、先週のこと。
駅のトイレで並んで待っていると、和式トイレに当たった小学生くらいの女の子が、「和式、使えないんでー」と言って、私を先に行かせてくれました。
帰りの駅でも、やっぱり小学校低学年くらいの子が、「和式使えないんでー」と言って順番を譲っているのを見ました。洋式がなかなか空かず、二人に譲ってました。
和式トイレを使えない子が増えているんだなあ…。
という感慨とは別に、もう一つ、「でー」の使い方について、ちょっといろいろ考え込んでしまいました。
日本人は、最後まで言わないで結論を察してもらう、ということをよくやります。
その際、途中で切った言葉の語尾を伸ばします。
「和式使えないんでー」
この最後の「でー」に、「今空いた和式トイレ、いやなんですよ、だから洋式が空くまで待つんで、お先にどうぞ」という意味が含まれています。
これが、トイレで並んでいるとき、前の人から突然、「和式使えないんです」ときっぱり断定的に言われたとすると、「えっ???そ、それがなにか?」となりませんか?
「和式使えないんでー」と伸ばすことによって、「私は和式トイレが苦手なんです、だから順番先に譲ります、お先にどうぞ」という意味が瞬時に相手に伝わると思います。
この、ちょっとした「でー」に、そこまでの意味を含ませることができる日本語はスゴイ言語だと思います!
が、どうせなら、「和式使えないので、お先にどうぞ」と言った方が、そのあとすんなり「あら、ありがとう」とつながると思いませんか?
だって、私は「和式使えないんでー」と、語尾を伸ばして言われたとき、うっかりいろんなことが頭の中に浮かんできて、「あら、私もなのよ」と言いそうになったんです。(いや、言ってないですけどね)
「和式使えないので、お先にどうぞ」
「あら、ありがとう」
この流れの方が自然に「ありがとう」が言いやすいですよね。
(実は私だって洋式のほうがいいので、譲られても困るんだけどなーと、ちょっぴり思ってます。でも、「お先にどうぞ」と言われると、すんなり「ありがとう」と口から出てきますからね)