集団てきじえいけん
いや~、夫のママン、すごい!
先日、義母の部屋の掃除に行ったら、机の上のメモに「集団てきじえいけん」と、二回続けて書いてありました。NHK 4月24日23時から、とか。
お義母さん!エライ!82歳で、こうやって時事問題をメモして、覚えようと繰り返し書いているんです!エライわ!!
と夫に報告したら、
「自分の興味のあることしか覚えようとしないんだよな」と。
あっ、そうか、ココにつながるのか…。
というのは、義母は自分の興味のあることなら時間も気にせず、ずーーーーっと取り組んで覚える、という癖が以前からあったのです(興味の無いことは徹底的に無視する、という癖も)。
夫が高校生の頃、数学の教科書を見て微分積分に興味を持った義母は、一週間ずっと教科書を読み込み、理解し、問題を自力で解いた、という逸話の持ち主です。
その間、料理を一切作ってくれなかったと、夫は苦々しく言ってました。私は最初は本気にしてなかったんだけど、事実だったと、夫の家族全員が言ってました。
義母は微分積分だけでなく、電気の配線も好きで、食事も作らず家中の配線をあれこれやり直したり、家を建てるときは間取り図を何枚も描いたり(それ、私も見たけど、すごかった。方眼紙に描いたその間取り図、建築家が製図したものと同レベル。物の大きさ、縮尺率がバッチリ合っている)。
そういうのをやり続ける間、食事を作ってくれないので食べ物が無く、夫は自力で料理を覚えたんだそうです。(夫が料理上手なのは、そういう過去があったからなのね…)
そして、夫曰く、
「その興味をなんで食いもんに出さんのだ!」
夫はいつも「おふくろは食い物に興味がねーんだよ」とか、「子供のころ料理なんか作ってくれなかったんだぞ」「とにかく料理が嫌いなんだよ」とか言ってたので、「何を大げさな、ウソばっかり言って!お義母さん、料理上手じゃん!」と思っていました。だって、結婚して夫の実家に行くと、たくさんの料理でもてなしてくれていたし。
でも、よく考えると、それは大量の煮豆と大量のけんちん汁、たまにタラコの煮たのだけだった気がする…。基本は煮豆とけんちん汁。美味しいんだけど、確かにそれだけ…。あとはお寿司を取ったり、ジンギスカンやラーメンを食べに行ったり、夫が作ったりで、滞在期間は過ぎていたのです。
よく考えると、夫がいつも言ってた「食べ物に興味が無い」というのは本当だったのか!
去年から同居になって、料理を出すと、料理名や素材名を言えないのは、もしかしたら軽い認知症?、、、と思ってましたが、いや、そうではなくて、ホントに料理や食べ物に興味がなくて、料理名や素材名も知らないだけ、と言うか、そもそも覚える気が無いだけだったのね!
だって、義母は「集団てきじえいけん」を繰り返し書いて覚えようという気があるんです。実際、覚えていて、ちゃんと話題に出てくるんです。
でも、カツ煮とか、野沢菜、炊き込みごはん、という料理名は覚える気ゼロ。私が張り切って焼いたケーキを出すと、「美味しいパンだねえ」、炊き込みごはんは何回作っても「五目ごはん」、さっき食べたナポリタンの味付けがケチャップ味であることがわからない。
「おふくろは炊き込みごはんなんか、作ったことないし、食べたこともないんじゃないかな」と夫。ケチャップ味のものも作ったことは無いとのこと。そういえば旭川の実家の冷蔵庫にケチャップなかった!
今は、食べることと薬をキチンと飲むことが命をつなぐことなのに、それがないがしろになっていて、よく忘れているので、「時事問題に対する興味を、食べ物に向けてくれよ!」と夫はいつもイライラしています。
でも、時事問題を覚えようとするのはエライよねえ。
もともと理数系がすごく好きで、戦争さえなければ上の学校へ進学して学校の先生とか、教授とかになっていたかもしれない人です。義母の両親はどちらも教師、父は校長先生。義母は長女だったので、下の妹弟を進学させるために働きに出たのだそうです…。勉強も好きだったし、進学したかったでしょうに…。ちゃんと勉強を続けていれば、緒方貞子さんくらいの人になったかもしれない、と私はひそかに思っています。
と言うと、「そんなふうに甘やかすからおふくろがつけあがるんだ!」と夫はまたもカリカリしています。
だけど、実際、エライですよね。紙に書いて覚えようとするなんて。小さな紙切れにメモするとなくすので、メモ帳を買ってきて渡したら喜んでました。
でも、ホントは、集団てきじえいけんより、個人てきじようのけん(個人的滋養の件)で頑張ってほしいんだけどなー。お義母さん、もう少し食べ物に興味持ってほしいです。カツ煮、また作るから、覚えてね!