2015年 07月 26日
実験好き
というわけで、義母にも実験&実証。奥歯の使い方を教えるために、です。
なぜ奥歯の使い方を教えねばならないのか、と言うと、義母はなぜか奥歯で噛んでも物は小さくならない、と思いこんでいて、前歯だけで食事をするという不思議な食習慣があったからです。いや、なぜそんなことになったのか、理由はわかりません。
胃の全摘手術を受けている義母は、出来るだけ口で食べ物を細かく、柔らかくしてのみ込まないといけないのです。そのためには奥歯を使わないと。
同居が始まってからこの一年、食事の時、夫はいつも、奥歯を使って食べるように、と何度も何度も口を酸っぱくして注意し続けていたのに、義母は頑として聞き入れませんでした。
「前歯で噛んでも小さくはならない、奥歯ですりつぶさないと、消化できないぞ」
「呑み込めないから、前に持ってきて、前歯で噛んで小さくしているんだよ」
「だからー、前歯で噛んだぐらいじゃ小さくならないんだよ、奥歯で噛まないと」
「だからね、前歯で噛んで小さくしているんだよ」
この一年、ずっとこの調子で堂々巡りでした。
どうしても奥歯を使いたがらないので、奥歯が入れ歯なのかと思ってたら、自分の歯だというし、なぜ前歯(入れ歯)ばっかりで噛むのか、本当に謎。
でも、先日、夫が「前歯使うな!奥歯で噛め!」と強く言ったら、義母がこう反論したのです。
「前歯だとね、噛み切れるけど、奥歯だと押さえるだけだから」
えっ、奥歯だと押さえるだけだから、ですって??? お義母さん、押さえること出来るんだ! それだよ!
私の頭の中に一筋の光明が見えました!
「お義母さん、それだよ、それでいいんだよ!!」パチパチパチ!!(拍手しつつ)歓声を上げました。
義母は、目を丸くして、「えっ???」という顔。
どうも義母は、奥歯で食べ物を押さえるだけでは噛み切ったことにならないと思いこんでいたようです。
そんなことないよ、奥歯で押さえて押しつぶすことが大事なんだよ!!
それを伝えるために、はい、ここでようやく実験。
手術用みたいにぴったりするゴム手袋をつけて、指を義母の口にいれ、奥歯で噛んでもらいます。
奥歯の力がどれくらいあるかを見るためです。意外にも、結構な力がありました。
「なんだ、お義母さん、奥歯の力あるじゃん! だったら、奥歯でちゃんと噛めるよ」
義母にもゴム手袋をつけさせ、私の口に指を入れてもらい、私の奥歯で噛んで、どれくらいの力がかかっているかを体験させました。
「ほら、私の力と変わらないでしょ、お義母さんの奥歯の力があれば何でも食べられるからね」
そして、ちょっと汚いけれど、ビーフジャーキーを一切れ私が口にいれ、前歯で5回噛んだものを、ペッと手に吐き出し、それを見せます。「ほら、前歯で5回噛んだだけだとこれくらい。小さくなってないでしょ。固まりだよね、まだ」
さらに、同量のビーフジャーキーを奥歯で5回噛んだものもペッと吐き出して、見せました。
「奥歯で噛んだもののほうが小さくつぶれてるでしょ?触ってみて。柔らかくなってるでしょ?」
「あら、ホントだね」
こうやって、私が吐き出したビーフジャーキーを触ってもらい、前歯で噛んだもの、奥歯で噛んだものの違いを認知させたのですす。(ゴム手袋してますから!)
夫が「奥歯で噛むように」と、一年間ずっと毎食毎食、注意していたのに直らなかった(直す気が無かった)義母ですが、この実験以後は、ちゃんと奥歯で噛むように努力しているようです。時々忘れたりもしますが、「こないだね、いろいろ教えてもらったからね、奥歯で噛むようにしてるよ」と言って、以前よりはずっと奥歯の使用頻度が上がりました。
今までほとんど奥歯を使ってなかったのに、急に使うようになったら、顎から首にかけての筋肉が疲れるとのこと。今までどんだけ使ってなかったのか…。
いや~、それにしても実験は大事です。咀嚼したビーフジャーキーをペッと吐き出して見せる、というのも、ゴム手袋して指を噛んでもらうのも、義母にとっては衝撃的な実験だったようです。
しかし、なぜ義母は奥歯で噛んでも小さくならない、と思いこんだのか・・・。そこんとこは謎です。
そして、奥歯を使わない生活だったからこそ、首や食道の周りの筋肉が弱まり、嚥下障害を引き起こしたのではないかと想像しています。義母の嚥下障害も長引いているのですが、その話もまたいずれ。