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赤星たみこの戯言・放言・虚言日記♪ akaboshi.exblog.jp

漫画家・赤星たみこの日記です。 


by akaboshi_tamiko

部屋干しのニオイ、バスタオルのニオイ

石けんの講演で、「部屋干しのニオイが気になる人はいませんか?」と聞くと、これには手をあげない人でも、「お風呂上りにバスタオルを使うと、濡れたバスタオルがちょっと臭うことはありませんか?」と聞くと、手をあげる人が増えます。

または、「洗濯したての衣類を着たときはわからないけれど、ちょっと汗をかいて衣類がぬれると嫌なニオイがする、という経験のある人はいませんか?」と聞くと、これもまた多くの人が手をあげます。

さらに、「夏の終わりに白い衣類を洗濯して箪笥にしまい、翌年の夏に出してみると、洗ったはずなのに黄色い染みが出来ていた、という経験のあるかたは?」と聞くと、これもまた多くの人が手をあげます。

これらはすべて「落ち切れなかった皮脂汚れ」が原因です。

もうずいぶん前になりますが、ある合成洗剤のCMで、「部屋干しするとニオイませんか? それは落ち切れなかった皮脂汚れにバクテリアが繁殖して臭うのです」というフレーズがありました。
私はこのCMを見たとき、ものすごく驚きました。

だって、この合成洗剤メーカーは、皮脂汚れを落とせない、ということを認めているんですよ!? そんな正直な合成洗剤メーカーがあるなんて!! と、この話、いろんなところで書いたり話したりしました。
すると、そのCM、すぐに終わってしまいました…。

そして、そのあとは「部屋干しのニオイはニオイ菌のせいです」とか、「ニオイ菌を除菌しましょう」といったCMがどんどん出てきたのです。

ニオイ菌を除菌と言っても、菌やバクテリアなんて空気中にいくらでもいます。洗濯槽の中だけ除菌しても他所からいくらでも飛んできます。

だったら、バクテリアを除菌するよりも、皮脂汚れを落としたほうが手っ取り早いと思いませんか? 

実際、私の家では、せっけんを使って汚れをしっかり落としているので、部屋干しのニオイなんて嗅いだことがありません。家じゅうバクテリアなんてたくさんいるはずですが、汚れが落ちていれば臭いません。脱水機の中で丸々二日くらい入れっぱなしにしたこともありましたが、その時もニオイませんでした。汚れが落ちていれば菌も繁殖するためのエサがないのでね。

それから、バスタオルも、何日使っても臭くなりません。汚れがしっかり落ちていれば、風呂上りのきれいな身体を拭いたくらいの水分ではニオイません。

15年くらい前に、ある新聞で家政学の教授が「日本では汚れていない物まで洗われていて、その代表がバスタオルである」というようなコラムを書いていました。私もまったく同感です。お風呂から上がってきれいな体についた水滴を拭いただけのバスタオルを、すぐ洗濯するのは、汚れていない物を洗うことになって、もったいないと思うのです。

それを私も自分が連載している新聞のコラムで書きました。そうすると、すぐに反論のお手紙をいただきました。

「毎日洗い立てのバスタオルを使うのは庶民のささやかなぜいたくです。バスタオルを毎日洗うことに目くじら立てる人がいる、ということが信じられない、そんなことに文句を言うなんてどうかしている」というような内容でした。(文言は丁寧でしたが)

私はその手紙を見て、「バスタオルを何度か続けて使うことがそれほどイヤなことなのだろうか???」と、ものすごく不思議に思ったものです。

しかし、あるとき、夫の実家でバスタオルを使ったとき、あの手紙を書いた方の気持ちがわかりました。

湿ったバスタオルから、イヤ~~~~なニオイがモワ~~~~~ッと出てきたのです!!

うわ、これは毎日洗いたくなるわ!! これを数日使うなんて、私もいやだわ!! 
そう思いました。(当時、夫の実家では全自動洗濯機で合成洗剤をサッポイピッ方式で使っていました)
(サッポイピッとは、洗濯機に衣類をサッと入れ、洗剤をポイと入れ、スイッチをピッと押す洗濯法)

うちのタオルは何日使っても臭くならなかったので、濡れると臭くなるタオルがある、ということを知らなかったのです。

落ち切れなかった皮脂汚れをしっかり落とすには、まず、石けんでも合成洗剤でも、よ~~~~~~~~~~~~~~~く溶かすことが基本。

衣類を入れない洗濯機に水を溜め、洗剤を入れて15分撹拌。
しっかり溶かしてから衣類を入れる。これだけです。

この手間をかけることで、プレケア(襟や袖に洗剤を塗りつけたり、靴下のもみ洗いをするなど)をしなくても汚れが落ちます。さらに、部屋干しのニオイも無くなるし、バスタオルも臭くならないし、そして半年間しまいこんだ白い衣類に出てくる黄色い染みも無くなります。あれは 落ち切れなかった皮脂汚れが半年の間に酸化して黄色くなって浮き出てきたもの、です。合成洗剤の場合は蛍光剤が衣類を白く染めているので白くなったような気がしますが、実は汚れが落ちていなくて、それが浮き出てくるわけですね。

洗濯をしていると、部屋干しのニオイに気が付かなくても、いろんなところで小さなトラブルがあるはずです。でも、みんな「衣類ってそういうものだ」「タオルってそういうものだ」と思いこまされているのではないでしょうか? ぬれたタオルが臭うのは仕方がない、そういうものだから。とか。汗をかくとTシャツのわきのあたりが臭うのは、自分が臭いからだ、とか。

そんなことないんですよ。一度きっちり汚れをおとしてみてください。15分撹拌して石けんや合成洗剤をよ~~~~~~~く溶かすだけです。嫌なニオイがしなくなるのできっと驚くと思います。

合成洗剤メーカーも、除菌洗剤を作るより、「ちゃんと溶かせばニオイしなくなりますよ」というCMを打ってほしいです。その方が確実なんですけど、、、ねえ。

どうしても消費者に手間をかけさせたくない、という思いがあるのでしょうね。

その思いやりが逆に消費者に別の手間をかけさせている、ということに気付いてほしいです。
(部屋干しのニオイをごまかすために強い香りの柔軟剤を使わねばならないとか、襟や袖や靴下の汚れを落とすためにプレケアをしなければならないとか。先に溶かすことで衣類はふんわりして柔軟剤要らず、プレケア洗剤要らずだし!)









はっ!! よ~~~く溶かすことで洗浄力が上がると、柔軟剤やプレケア洗剤が売れなくなる!! 大打撃!? そうか、そういうことか!!

by akaboshi_tamiko | 2015-11-30 15:20 | 石けん/セスキ/過炭酸塩 | Trackback | Comments(0)