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中野新橋慕情

とある仕事で中野新橋に行くことになった。

中野新橋は、40年前に私と姉が住んでいた所だ。姉がもともと住んでいたアパートに私が転がり込んで、姉に生活の面倒をみてもらいながら、のほほんと学生生活を送った場所だった。

40年ぶりに中野新橋の改札を出ると、そこはもう全く変わっていて、懐かしさも感じなかった。

今日、仕事が終わり、駅まで来ると、ふと昔住んでいたアパートの方へ行ってみようかなと思った。
改札を出て右へ。
最初の信号を左へ。しばらく歩くと交番があったはずだ。 

雪がシャーベット状に溶けている道を歩きながら、40年前のことを思い出していた。
あの交番のお巡りさんに、宮崎の山奥の小さな町から出てきた私は、夜、バイト先から帰って来たとき、「今晩は」とあいさつしたのだった。

最初の日、お巡りさんには驚いていた。でもそのうち向こうからも挨拶を返してくれるようになった。
その事を姉に話すと、へーっ!と驚いて、私もやろう!と言い出したのだ。

こうして私たち姉妹は、二人して挨拶するようになったのだった。

あの交番はまだあるのかな。
中野新橋慕情_b0019674_23343338.jpg

あった!
同じ場所に交番があった。
この角を右に行けば、その先に姉と一緒に暮らした古いアパートがあっのだが。

 
私は結局、アパートを確かめずに駅へ引き返した。

もし姉が今、生きていれば、私はきっとアパートを確かめに行ったと思う。そして姉に電話して「今日、中野新橋に行ったよ。あの交番まだあったよ。アパートはもうなかったよ」なんて話をしたはずだ。

姉が逝ってから4年の月日が流れた。
姉が今はいないことを実感することはあまりないのだけれど、こんなとき強く思い出す。

ねーちゃん、中野新橋に行ったけんど、アパートまでは行かんかった。ねーちゃん、おらんから、話す人もおらんしね


時々、ねーちゃんに会いてーよ……


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by akaboshi_tamiko | 2016-01-18 23:13 | つれづれ日記 | Trackback | Comments(0)