喪服を洗う
革靴がカビだらけで10足以上廃棄処分にしたり、革ジャンやバッグにもカビが出ていた。
それくらいカビがひどい夏だったので、11月5日、明日、斎場に行く、という日になって夫が自分の喪服を出してみたら、なんとカビが生えていた!! 黒地に白いカビはすごく目立つ。
実は、義母の入院中、私も夫も、喪服のことが頭をよぎったのだが、それは二人とも口には出せなかった。最後の最後まで、私は葬儀が来ることなど考えたくなかったし、夫に「喪服の準備を…」と言うのは酷すぎて、言えないでいたのだ。
しかし、明日は斎場へ行って、葬儀をしなければならない。紺のスーツを着る、と言うのだが、弔事に紺のスーツは意外に目立つ。仮にも夫は喪主なのだから、黒い喪服のほうが絶対いい。
というわけで、私は夫の黒いダブルのスーツを洗うことにした。(クリーニングは絶対間に合わないので)
夫の喪服、素材はウール。ああ……ポリエステルなら簡単なのに、、、、ウールは固くなったり縮んだりするのでちょっとやっかい。でも、やらないと明日着ていけない。やるしかない!! まあ、洗うのは何とかなるだろう。でも、、、実は、洗うより難しいのはアイロンがけのほうなんだけどね…。
とにかく、まずはカビの生えたスーツをお風呂場にかけて、シャワーで全体のカビを洗い流す。
いきなり石鹸液につけても、カビそのものがたくさんついていると、石鹸液がすぐ汚れてしまうので。ザーザー勢いよくシャワーをかけてカビ汚れをある程度洗い流してから石けん液で洗う。
洗濯機にぬるま湯を入れ、液体石けんとセスキを入れてよくかき混ぜる。※1セスキ炭酸ソーダを入れるのは、助剤の代わり。
洗濯槽の石けん+セスキ液にスーツを沈め、ゆっくりと手で押し洗いする。もみ洗いやこすり洗いはしないで、洗濯液の中で布地を泳がせるように揺らしたり、軽く押したりしながら、洗濯液の汚れ具合を見ながら洗う。上着とズボン両方入れて2~3分というところかな。
うちの洗濯機は二槽式なので、スーツを脱水するのも簡単。洗濯液を排水しながらスーツの脱水は3分ほど。
※2洗濯槽にきれいなお湯をためて、スーツを水没させ、また揺らしたり押したりしながらやさしくすすぐ。すすぎは1~2分くらい。石鹸は泡切れが早いので、意外にすすぎ時間は短くても大丈夫。
脱水は2~3分くらい。しっかり脱水するとしわが取れなくなるので軽めに。
脱水槽から出したスーツは、カビのにおいもなく、きれいな黒になっていた。
これを当て布をしながらアイロンがけをする。ある程度乾いてからでもいいけれど、明日着るので、まだ乾いていないうちにアイロンをかけて少しでも早く乾かしたかったのだ。
ズボンの折線がきれいに出ていないと意味がないので、そこは※3当て布を薄いものにして、しっかりかけた。
上着で難しいのは袖山。袖の中にバスタオルを丸めて入れて、布を軽く引っ張って形を整えながらアイロンをかける。もちろん当て布をして。
このアイロンがけだけで2時間ちかくかかった。
しわが伸びて、パリッとしたけれど、まだ湿っているので、ハンガーにかけて下から除湿器を当てて一晩おいたら、、、
よかった!葬儀当日はきれいにしわも伸びていたし、ウールが縮むこともなく、すっきり仕上がった!!
あのカビが落ちるとは思ってなかった、、、とは夫の弁。
黒カビは落ちにくいけど、白いカビならすぐ落ちる。本当に大変なのは、アイロンかけ。皆さま、あまりやらないほうがいいと思います。
カビが生えないよう、虫干しはこまめに。そっちのほうが楽ちんです…。
補足説明
※1
液体石けんは助剤が入っていないので(入っていても2~3%と、極端に少ない)、大物を洗う時は助剤があるほうが洗浄力が長持ちする。
助剤とは、石けんの洗浄力を長持ちさせるためのもの。ふつうの洗濯石けんだと、助剤は炭酸ソーダ(pH11.3)を使う。
しかし、炭酸ソーダだと全体のpH がやや高くなるので、ウールが固く洗いあがる。
セスキ炭酸ソーダはpH9.8。石けんのpHは10くらいなので、それよりpHが低めのセスキ炭酸ソーダだと、ウールにも安心。
※2
ウールやシルクなどを洗う時はぬるま湯が基本。洗う時とすすぐ時まで同じ温度がおすすめ。
※3
ほかの部分は厚手のタオルを当て布にした。ウールの繊維は熱や圧力でペタンとなってテカテカすることがあるので、優しく、中温でアイロンがけが基本。でもズボンの折り目だけはきっちりさせたいので、ここだけは当て布を薄手のもの(手ぬぐい)にしてやや高温でアイロンをかけた。
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