エリック・クラプトン~12小節の人生~を見てから、クラプトンTears in Heaven のことをちょっと考えている。洋楽無知の私にしては珍しく。
この曲は1991年、クラプトンの4歳になる息子、コナー君がNYの高層マンションの53階から転落して亡くなった後に作られ、1992年に発表されて大ヒットした。…と、ここまでは私でも知っているくらい有名な話です。
Would you know my name
If I saw you in heaven…
「天国で会ったら私の名前を憶えているだろうか…」という出だしも有名ですが、でも私は何となくここに違和感がありました。普通の親子関係でそんなことを聞くかなあ?と。
いや、息子は小さな頃に亡くなったので、親が天国へ行く頃には覚えてないかも?という考えもわからないではないけれど、でも、普通の親子関係なら、あんまり言わない言葉なんじゃないかなぁ…。という違和感。
英語のnameというのは、単なる「名前」という意味だけでなく、その人の存在そのものも表す言葉だと聞いたことがあります。そうすると、君は私の存在を覚えていますか?という意味にもなります。
そうなるとまたさらにふつうの親子関係で言うかなぁ?という違和感も強まったのです。
それから何年もたち、クラプトンの半生を描いたこの映画を見ていたら、私の感じていた違和感に対する答えが見つかったような気がしました。
それは、コナー君が亡くなる前にクラプトンに宛てて書いた手紙なんですが…。一緒に遊んだあとに書いたその手紙の一節が
I want to see you again. (また会いたい)だったのです。
その手紙がスクリーンに映ったとき、なんだか不思議な感じがしました。
えっ、I want to see you soon.(早く会いたい)じゃなくて、againなの?
クラプトンは超有名ミュージシャンで世界を飛び回っていて一緒に暮らしてないんだから、
I want to see you again.でもいいかもしれないけど、それでも、もう少し親子関係が密だったら、
I want to see you soon. になるんじゃないでしょうか?
つまり、親子関係はそんなに密接ではなかった…と。
たまにしかあっていない息子だからこそ
Would you know my name
If I saw you in heaven…
「天国で会ったら私の名前を憶えているだろうか…」
という歌詞になったのかもしれません。
それから、映画によるとクラプトンは自分の実の母親とは一緒に暮らしていなかったし、拒絶されていたとのこと。彼はそのトラウマをずっと引きずっているようでした。
親や身近な人から拒絶された子供時代を持つ人は、大人になって自己肯定感を持ちにくいらしいです(これが異常なほどの女性遍歴につながるのかも??)。
と、そんな複雑な背景と感情を持ったクラプトンが、初めてできた息子(娘は先に生まれていたけど)と、たまに会っていたわけです。
その息子が、一緒にお出かけしてサーカスに行ったらすごく喜んでくれた。
それが嬉しくて「これからはもっと父親らしいことをするよ」とコナー君の母親に打ち明けて、翌日、また一緒に動物園へ行こうとした矢先に、息子ははしゃぎすぎて転落死してしまう…。
それはもう深い悲しみが彼を襲うでしょう。子供を亡くすとは、想像もつかないほどの悲しさ、苦しさだと思います。
それに加えて、彼は、一緒に暮らさないでいるコナー君に対して、自分が母親から受けた仕打ちと同じことをしていたのでは…という自責の念に駆られたかもしれません。
ただ単に息子が亡くなっただけでも悲しみは計り知れないのに、そういう自責の念も加われば、悲しみはより大きく深く強くなるでしょう。
実は、数年前にこの曲の訳詞をLady Satin’s English Project というブログで読んでいました。
(このブログはladysatinさんという英語の翻訳をなさっている方が書いています。毎回、英語の話や訳詞が素晴らしくて、実は私はずっと前から読み続けているのでした)
今回、改めて読み直して、Tears in Heaven の歌詞の重さに気づき、感動を新たにしました。2013年 11月 17日から3回にわたり、歌詞を詳しく分析し、丁寧に解説してくれています。
この訳詞と解説は素晴らしいです! ぜひ読んでみてください!
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