フェイスブックで友達の産経新聞社夕刊フジ編集長・中本裕己さんの著書を読みました。
FBでも出産前後の話を読んでいたので、大変な苦労を乗り越えたのだとは承知していましたが、この本を読んで、私の想像をはるかに超える危険な状況を乗り越えたのだと知りました。
しかし、全編を通して決してあおることなく冷静な筆致が貫かれています(冷静ゆえに事態の深刻さが深く伝わるのですが)。
それは、中本さんが仕事上、医療・健康のページを編集したり、専門医に取材したりと、もともとかなりの知識をお持ちだったからでしょう(ご自分では「にわか知識」と謙遜なさっていますが)。
さらに、奥様の淳子さんの心筋炎の重篤な状態が続いていたときは、心筋炎の最新のガイドライン(標準治療)を読み込んだそうです。
これはもともとの知識がないとなかなかできないことだし、さらに、愛がないとできないことだよなあ…と思いました。
私事で恐縮ですが、私が’97年にがんの手術を受けたとき、夫が専門書を読んでいろいろ知識を仕入れてくれました。おかげで術前に担当医から受ける説明が、すんなり頭に入ってきたのです。
あの時の夫の姿、専門書を毎晩読み込み、アンダーラインを引いていた夫の姿は、確かに私への愛にあふれていました。
あの時のことをしみじみ思いだしました。
いや、のろけじゃなく。
中本さんの本にあふれているのは、奥様への愛と、生まれてきた赤ちゃんへの愛です。
それは「おのろけ」というようなふんわりしたものではなく、命そのものへの愛です。
私は淳子さんともFBでつながっているのですが、チェコ語を勉強していたという話を聞いて、インテリだなあとほんのりあこがれていたのです。
そして「七夕が誕生日だね」という言葉の真意…。生死のかかった状況で、冷静な判断ができるのは知性と愛のおかげだと思うのです。
すべてが愛にあふれる話ですが、それにプラスして、ユーモアと、経済的な話と、実用的な話と、いろんな情報が山盛りで、ぜいたくな本です。
中高年だけでなく、出産・育児本としてだけでなく、たくさんの人に読んでもらいたいと思います。