ある友人が以前、話してくれたことをふと思い出した。
その友人は当時、外資系の会社に勤めていて、海外出張も多い人だった。
さて、その友人の同僚の話。
同僚は40代半ばの中堅営業マン。仮にA氏としておこう。
大学でドイツ語を専攻していたのだが、教科書の例文に「銀行の前に白い犬がいます」というものが載っていたそうだ。
「こんな例文、いつ使うんだよ、ねえ?」
そこから、ひとしきり教科書に載っている役に立ちそうにない例文の話で盛り上がった。
「This is a pen.もいつ使うんだ?と思いますよねー」
「ですよねー」
その話をしてからしばらくたち、A氏は海外出張へ出かけた。
成田からフランクフルト、そこから地方都市へ。
地方都市の空港から会社のある街へ行くと銀行があった。
その銀行の前に白い犬がいた。
A氏の頭の中で20年間使われなかったあの例文が湧き出してきた!
Vor der Bank steht ein weißer Hund.
銀行の前に白い犬がいます!
20年後の奇跡!
「いやー、ようやくあの例文を使う機会があったよ」とA氏は言ったそうだ。
よかったよかった。
言葉って、使う機会がないと忘れちゃうしね。
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「銀行の前に白い犬がいます」はほんとに友人から聞いたままの例文ですが、教えてもらったドイツ語は覚えてないので、DeepL翻訳使いました。