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混ぜるな!危険!!じゃなくて・・・

07/01/28/日曜
混ぜるな!危険!! という表示のある洗剤がありますよね。
酸性のものと混ぜると有毒ガスが発生する、というやつ。

あれじゃなくて、私の言いたいのは、「混ぜると無駄ですよ~」です。

いや、「混ぜるな!無駄!!」と、命令形にしたいところですが、混ぜる人が多いし、良いことだと思ってやっている方が多いので、命令形は失礼かな、と思って、「混ぜるとかえって無駄が出ますよ~」という、決して命令形ではなく、示唆するだけの言葉にしておきますね。

それは何かというと、「重曹」です。

重曹を石けんに混ぜて洗濯する人が多いのですが・・・・・・。

これ、場合によってはすごく無駄が多いんです。

重曹って、今すごくはやりですけどね、確かにこびりついた汚れを「研磨作用」で落とすことは出来ますけどね・・・。

重曹のpHは8.2くらい。

石けんのpHは、無添加石けん(いわゆる純石けん)だとpH9.5くらい。

石けんよりpHの低いものを混ぜると、石けんのpHが下がってしまいます。それは意味がないんです~。

だから、無添加石けんに助剤として足すのは炭酸ナトリウム(=炭酸ソーダ=炭酸塩 同じものです)です。
炭酸ナトリウムのpHは11.3くらい。

無添加石けんに炭酸ナトリウムを40%くらい足すと、石けんのpHは10くらいに上がり、洗浄力も上がります。

友達が、無添加石けんに重曹を混ぜてpHがどう変わるか、実験してくれました。

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まず無炭酸塩の液体石鹸(米油石鹸)を水温10度の水によく溶かす。
ごく薄い白濁水とこんもりした泡。
原液pH9.5。
水に溶かした後はpH8.5

そこに重曹を入れてみる。
かき混ぜるとともに白濁が強くなり、泡はネットリしたものから荒い大雑把な泡になる。pH7.6程度。
(pH7.6とは、これくらいの中性洗剤もあるほど)
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追記
友達から連絡があり、pH計で計測した時の気温と水温が低すぎて、正しく測定しなおすと、だいたい石けんと重曹の中間くらい(pH8台のやや後半くらい)になるだろう、とのことです。

にしても、石けん本来のpHよりは下がるわけですね。(いや、それは実験をするまでもなくわかっていたことなんですが)

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pHが8の後半ってのは、いわゆる純石けん(無添加石けん)より下がるってことですよね。

Tシャツやジーンズや、普段着の洗濯するとき、重曹を混ぜている方、混ぜるなら炭酸ナトリウムです。

もとから炭酸ナトリウム配合の石けんだと、重曹は混ぜなくても大丈夫!(むしろ「混ぜるな、無駄!」と言ったほうがいいかも)

重曹を溶かした水に衣類を入れて、柔道着などのひどい汗汚れや皮脂汚れを少し中和させ、汚れをある程度落としてから石けんで洗う…。
これなら意味があると思いますが、その手間、すごく大変じゃないですか?

それより炭酸ナトリウム配合の石けんをよく溶かして、ちょっと長めに洗濯機を回すほうが手軽です。

まあ、重曹やセスキ(どちらも石けんよりもpHが低い)を無添加石けんに加えるのは、石けんの洗浄力をマイルドにする(洗浄力を落とす)という意味がありますから、シルクやカシミヤやモヘアなどを手洗いするにはいい方法だと思います。

しかし、普段着を洗濯機でガシガシ洗うには、無駄が多くなります


重曹やセスキといった無機塩類にはアルカリ緩衝作用があるので、シルクのブラウスやウール100%のセーターを何枚も手洗いするときには入れても意味があります。「意味がない」と言うのは、あくまでも汚れのひどい普段着を洗濯機でガンガン洗う場合の話です。

※アルカリ緩衝作用=洗濯液に汚れ物を入れても液のpHがすぐに下がらない作用。pHは対数で計算するので、倍に薄めたからと言って2分の1になるわけではありません。



Commented at 2007-01-29 17:08 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 羽根木おじさん at 2007-01-30 12:16 x
石鹸に重曹混ぜる方法って、もともとはシルクなんかを洗うときに使われていた方法なんですよ。
アルカリ度を思い切り下げて、アルカリに弱いシルクでも洗えるようにするわけです。

でも、それやるときはヌルマ湯だけで前洗いして大方の汚れは落としてからやるし、やっぱりある種特別なやり方なんです。
シルクは木綿ほど皮脂汚れとか染み込まないし。

Tシャツとか普通の衣類洗うときは、意味ないというか、間違った方法です。
だけど、重曹ってどこでも手に入りやすいから、似非家庭の科学(あるある科学。又はなんちゃって科学とでも言おうか)に取り込みやすかったんでしょうね。
この辺はインチキ科学の代表格のマイナスイオンとかと同じで、流行りもののキーワードは全て取り入れるという、節操の無い奴らの仕業かと。
Commented by akaboshi_tamiko at 2007-01-30 20:09
鍵コメントさん>
確かに、石けんメーカーの方でもそういうことをおっしゃる場合があります。
そういう質問に答えるのは、営業の方だったりして、理論がよくわかってない方とか、実際に石けんを作っている職人さんではなかったりします。
このこと、また日記にちゃんと書きますね。

また、羽根木おじさんのレスにもあるように、アルカリ度を下げてシルク洗いに使ったりすることは理にかなっています。おじさんがおっしゃるように、重曹が手に入りやすくて、似非家庭の科学に取り込みやすかった、というのが実態でしょうね。
Commented by akaboshi_tamiko at 2007-01-30 20:10
>羽根木おじさん
いつもためになるレスをありがとうございます。
鍵コメントさんの話がまた興味深いので、それとあわせて、他に知っていることなど日記に書きますね。
Commented by まおまお at 2008-12-11 20:46 x
初めまして、こんにちは。
重曹+石けんだと洗浄力が落ちる事は知識として知っていましたが、
それでは、重曹を入浴剤代わりにしているお風呂のお湯は洗濯に使用しないほうがいいんだなって再認識いたしました。
なんとなく、重曹風呂のお湯を使うと良いイメージ?があったので
ずっと使っていましたが、こちらを拝見させていただき、気付く事が出来ました。
感謝申し上げます。
Commented by akaboshi_tamiko at 2008-12-12 01:48
★まおまおさん
いらっしゃいませ。
重曹を入れたお風呂の残り湯を洗濯に使うことは、それほど間違っていないと思います。

洗濯に重曹を使う場合、40リットルに大さじ1とか入れるわけで、それは意味がないことですが、たいていのお風呂は200リットル以上あって、それに大さじ1~2くらい入れますよね? その濃度だと洗濯に使ってもそれほど石けんの力を阻害するわけではないと思います。また、お風呂では皮脂などで重曹が中和されて水に変化する部分もありますから、さらに重曹の力は減っています。

それより、残り湯は「温度」という素晴しいパワーを持っているので、たとえ重曹が少し入っていても、温度による貢献のほうが大きいので、残り湯、どんどん使っても大丈夫ですよ(*^_^*)
by akaboshi_tamiko | 2007-01-28 23:42 | 石けん/セスキ/過炭酸塩 | Comments(6)