ハンニバル・ライジング
注意! 「ハンニバル」のラストのオチが書かれています。まだ読んでない方は、この日記は読まないほうがいいと思います。
しばらく前から読み始めた「ハンニバル・ライジング」を、先週ようやく読み終えました。
電車で移動中に本を読むと、バッグを取り替えると読む本も変わって、数種類の本を同時に読んでしまい、一冊読み終えるのにけっこうな時間がかかります。
さて、「ハンニバル・ライジング」。
ハンニバル・レクターの幼少期から青年期にかけての物語ですが、彼がいかにして「怪物」になったのかが書かれています。
前作の「ハンニバル」も面白かったけれど、これも面白かった。
「レッドドラゴン」「羊たちの沈黙」「ハンニバル」読み進めていくと、レクター博士が人肉嗜好を持つにいたるきっかけは、幼いころの戦争体験にあるのだろう、と予測していましたが、その読みはバッチリ当たりました。
そして、「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」に出てきたクラリスという美しい捜査官。
「ハンニバル」のラストでは、凶暴な連続殺人鬼であるレクター博士とクラリスは、共に生きていくことになります。
原作の「ハンニバル」のラストは切なくも美しい話になっていたけれど、映画では二人は結ばれないんですよね。
ハリウッド的には人肉食の殺人鬼とFBIの捜査官が幸せに結びついてはまずいのでしょう。また、映画撮影時のアンソニー・ホプキンスの年齢と外見では、運命の人にめぐり合った切ない切ない愛情の話にするには無理があったし…。
小説の中のハンニバル・レクターは、類まれな美意識と才能と知性を持った人です。
そのセンス、美意識を培ったのは、なんと!!
「ハンニバル・ライジング」では、ハンニバル・レクターはリトアニア生まれ。
押さないころから天才ぶりを発揮していた。戦争で両親と妹を亡くし、戦争中のある体験から言葉が出なくなる。
戦後、ハンニバルを探していた叔父と再会し、一緒に暮らすようになる。
叔父は高名な画家で、その妻はなんと日本人!!
その名もレディ・ムラサキ!!(原文ではレディ・ムラサキシキブだそうです)
翻訳では紫夫人となってました。
ハンニバルはこの美しい紫夫人から多大な影響を受け、日本語を習い、書画、短歌をたしなみ、宮元武蔵野甲冑や刀を見ながら育つ。
紫夫人が日本から連れてきていた身の回りの世話をする少女が千代といい、その千代には原爆症で闘病している貞子という従姉妹がいる・・・。
千代と紫夫人はこの貞子のために千羽鶴を折る・・・。
そもそも紫夫人とハンニバルの叔父さんがどうしてであったのかと言うと、叔父さんは有名な画家で、戦前に日本で展覧会をして、日本に行ったことがあった。その時会場に来た紫を見て一目ぼれ。ヨーロッパに帰ってもずっと忘れられなかったのだが、紫の父親が外交官としてフランスへやってきて再会、そして結婚、という段取りでした。
「ハンニバル・ライジング」の中に、宮本武蔵、小野小町、与謝野晶子という固有名詞がバンバン出てくるんだけど、それは日本人に取っては説明無しでOKです。でも原語の原作の中にも何の注釈も無くこういう固有名詞が出ているんだそうです。
この小説を一番楽しめるのは日本人かも、と翻訳者も書いてましたが、ホントそう思います。
下世話な話「SAYURI」でも日本が舞台なのに中国人の役者が日本人を演じていたが聖林だからこそ鞏俐と章子怡の取っ組み合いのシーンが見られて個人的には良かったかな(爆笑)
または、ふりがなをつけてくれるとありがたいなあと思います。
人づてだが取っ組み合いのシーンと言えば「陽暉楼」(池上季実子と浅野温子)や「極道の妻(おんな)たち」(岩下志麻とかたせ梨乃)等もお勧めらしい!?
漢字の表記だと、コピペして検索かけると出てきますけど、確かに振り仮名があると嬉しいですよね。同感です!
お名前、一つにしていただけませんか?
第二次大戦後のヨーロッパのファッション、よさげですね~~。
私も見よう! でも、ホルマリンに浸けられたあのシーン、読んだだけでも息苦しかったのに、映像だと怖いわ~。そのシーンは早送りで見ようかな。
そうなんですよ~。(*^_^*)