面白くはないけれど、上品でほのぼの
総合待合室は大勢の人でごった返していましたが、その中にお着物のステキなおばあさまが! いいなあ、私もキモノで行けばよかった。昨日は洋服でした。
3時間後、会計も済んだ私が総合待合室に行くと、あのステキおばあさまが入り口付近のソファに腰掛けていらしゃるではありませんか。思わず敬語になっちゃうような上品なおばあさまです。
同じソファの隣に座って本を読んでいたら、急にそのおばあさまが私に話しかけてきたんです。
「あなたね、わたくしね、78になるのよ。そうしたらね、おかしいのよ~」
バスの時刻表を見たら、見間違えて、○分だと思ったら□分だったのよ。それでね、この椅子に座って、後ろにある時間を見ようとしてもね、首が回らないから、体ごと回さないといけないの、ほら、もう78歳だから。
それでね、とっても苦労してみていたの。でもね、ほら、ふっと前を見たら、正面に時計があるのよ、おかしいでしょう~?
って、全然おかしくなかったけれど、その上品な語り口がステキで話を聞いてしまいましたわ。
きっと、この方は、時間を見間違えた自分の勘違いや、一生懸命後ろの時計を見ようとしたらじつは正面にもあった、という勘違いがとっても面白かったんでしょう。
私はなんだか本当にほのぼのしました。
「ごめんなさいね、いきなり話しかけたりして」とおっしゃるので、「いいえ~、こちらこそ、ステキなお着物だなあ、お話してみたいなあ、って思ってたんですよ」と答えました。
「大島ですよね?」「ええ、大島紬。帯は綴れ織り」「でしょ~~、いいですよね~~。ステキです~。私も今日、キモノで来ようかどうか迷ったんですよ。うちでもけっこう着ているんです」
「あらあなた、お若いのに、いいわねえ」(そう、目上の方と話すと、若い若いと言ってもらえるので、こちらも楽しくなりますね!)
このあと、おばあさまとひとしきりキモノ談義に花が咲きましたよ。
私、最近キモノ用語に強くなってるから、話がよ~~~く通じました。
胴裏をつけて縫う、胴抜き、袷、単衣、御端折りで調節、袋になる、居敷当、帯枕、くける、くけ台、など。
それにしても、このおばあさま、なぜ私に急に話しかけてきたんだろう。
私にキモノ人のオーラが出ていたのかも? なんてことを思いました。(^^)
きのう、田辺聖子さんのお話を聞いたのですけど、
「人が話しかけたいような、雰囲気を持ってるって、大事よ」
って、おっしゃってました。
こちらの気持ちが相手に通じて、ほのぼの気持ちが通うようなとき、
「照り映える」という言葉を使ってられました。
赤星先生の、その着物のご夫人を素敵だなぁという気持ちが、
その方に伝わり、お互いに気持ちが照り映えたんですねぇ。
なんだか、想像すると、わたしまでほのぼのしてきました!
「照り映える」っていい言葉ですね~~~!
お互いの姿がお互いに映って、照らしあうというイメージでしょうか。
映るだけでなく、照らしあうのがいいですね!
あ~、ほのぼのしてよかった~(^^)
そうしたら待合室で隣に座られた見ず知らずのリウマチの患者さんに、「自分の昔の着物をもらって欲しい」と言われて、本当にいただきに上がったらタンス一つ分ありました!
「ど、どなたかご親戚はいらっしゃらないんですか?」とお聞きすると、「こんな安物は要らないという親戚ばかりだから」とおっしゃいます。大島紬とか何とか紬とか、しつけのついたのがたくさん!!!
私、その日は裄も短ければ(襦袢の袖が出ないように輪ゴムで袖を止めてある)おはしょりも無いような、敷居の低い着物愛好家なのがバレバレで声をかけやすかったみたいです。
病院に着物って、検査とかで脱がねばならない時以外だったら、いいですよね~。私の友達はレントゲンの検査を受けるときも着物で行ったそうですよ。金具を使ってなければそのままで受けられるのでかえっていいかも!
それにしても着物をいただいたのはいいことでしたね!
私も最近キモノをいただきましたが、下さる方は、「捨てるわけにも行かないし、誰も着ないし、着てもらえれば嬉しい」と、両方が嬉しい気持ちになりますよね。
着物、これからもがんばって出来るだけ着ようと思います(*^_^*)