薮内佐斗司先生の彫刻/追記あり
薮内佐斗司先生、今、ものすごい話題の人になっています。
そう、奈良県の平城遷都1300年祭のマスコットキャラクターデザインの件です。
あのキャラクターデザインの「イラスト」は、イラストですから当然平面です。
薮内先生の作品は、立体で見ないとかわいらしさが出ないと思うなあ。
ほかの彫刻は、コロンと丸い童子の姿や、コロンとした柴犬の彫刻など、しみじみ可愛い形のものが多いんです。
確かに、キティやひこにゃんのような、甘いかわいらしさとはちょっと違います。
キティがイチゴのタルトのようなかわいらしさだとしたら、薮内先生の彫刻は草餅とかみたらし団子のような可愛らしさ、とでも言いたいような…。
それにしても、薮内先生への批判はちょっと的外れだと思います。
500万円という金額も、「買取」としては安いと思います。
平城遷都1300年祭の事務局は、これからさき、いろんなグッズを作ったときの著作権も全部含めて買い取りしたわけで、それが500万円というのは妥当な(いや、むしろ安い)金額でしょう。
薮内先生が有名人だから、高名な仏師だから、芸大の教授だから、言っているわけではなくて、お祭りの規模、これからさきのグッズ販売の可能性を考えると、500万円は決して高くないですよね。
あ~、でも、この話、立体と平面で可愛らしさが違ってくる、ということがよくわかって、絵を描く人間としては非常に面白かったです。
仕事の大きな山が一つ超えて、日記更新も出来ました。
自分のサイトくらいはちゃんとやらないとね(*^_^*)
追記
このマスコットキャラクター作りに関するネット上のものすごい批判に対して、とても穏やかに回答した薮内先生。
さすが仏師!
「最近のマスコットキャラクターの流れから逸脱している」という批判があるそうですが、さすが芸術家、「私は最近のマスコット業界の流れを汲んで作品を作るのではなく、平城遷都1300年祭のマスコットを作ったのです」と答えています。
ひこにゃんとか、モリゾーとキッコロみたいな、漫画チックな可愛らしいキャラクター作りの流れとは全然違うキャラクターになりましたが、「平城遷都1300年祭」という、重厚な歴史のあるお祭りのキャラクターとしては、漫画チックなものよりこっちのほうが適しているんじゃないかなあ、なんてことも思いました。
批判する人たちは、多分、ひこにゃんのヒットを真似してほしかったんでしょうね。
ひこにゃん、ゆるキャラとしては可愛くて好きですけど、歴史的祭典としてはちょっと違う感じもします。
ゆるキャラブームの流れでキャラを期待していたら、確かに薮内さんのキャラはビミョーかもしれません。でも、薮内さんの彫刻(立体)は、実は超可愛いと私は思っています。

薮内さんのほかの彫刻を見ると、本当に生き生きしてますよね。
あれを絵にすると、やっぱり可愛くないと思います。
具体的には、眉の線が、黒い線で描かれているのと、顔の丸みの中で角度がついているので眉に見える線(物の形の稜線)では全然印象が違います。
立体と平面の違い、大きいですね~。

確かに、薮内さんの彫刻作品を見ると、愛嬌があって面白い作品が多いのですが(善光寺にもありますね)、キャラクターとなるとあの絵のまま2次元で使われることも多々あると思いますので、そうなると微妙な気がしますねえ。
あとは、あのキャラクターのうまい生かし方を考えて欲しいものです。
あのキャラは確かに平面のイラストだとちょっと可愛くないですねー。
でも、携帯ストラップとか根付とか、立体になるといい感じになるんじゃないですかねー。
でも、型のつくりが甘いと、せっかくの可愛らしさが半減するので、どこに依頼するかによるかも。海洋堂に頼むと高くついちゃうかな…。

で、仏教限定のお祭りでもありません。